コテコテのSEO構文から脱却するためにはどうすればいいでしょうか。
WEBライターとしての仕事に慣れてくると、すらすらっとSEOを意識したライティングができるようになってくるかと思います。
しかしこのいわゆる「SEO構文」が身にしみすぎて、自分にしか書けない熱い文章を書けなくなってしまう(機械的な文章になってしまう)ことで、受注できる案件の文字単価に限界が来てしまうように感じます。
そこで、ある程度の文字単価まではコテコテのSEO構文でも問題ないとは思いますが、そこを超えて替えの効かない人材を目指すなら、SEOをあえて無視する必要があると考えたのですが、藤原さんはこの「SEO構文」に関してどのようにお考えでしょうか。
I. J.さん
要点を以下2つに絞って回答いたします。
- SEOライティングを無視してはいけない
- 「熱い文章」の定義と必要性を確認しよう
まず〝SEOライター〟として単価を上げるなら、SEOライティングを無視してはいけないと思います。
SEOというのは、Googleの検索結果に取り上げてもらうために、読者の悩みや願望を叶えられるよう配慮されたコンテンツをつくることです。
SEOを無視することは、すなわち「読者のほうを向かずにコンテンツをつくる」と捉えられます。
……ただ、ここではI. J.さんに「ある検索キーワードの上位記事の真似事にならない記事をつくりたい」といった意図があると読みました。
たしかにキュレーションメディアの記事制作は、そのメディアが用意したSEO記事のテンプレ構成があり、その構成に沿ってライターが上位記事から集めた情報を各項をあてがう流れになりがちです。
この流れに疑問を抱いているなら、経営陣と近い距離でお仕事ができる「中小企業さんのメディア運営」に携わると良いように思います。
中小企業の経営陣と一緒にメディアをつくりあげる場合、「どんな顧客を集めたいのか」とか「どんなプロダクトを紹介したいのか」といったコンテンツ制作の方向性を決めるところから業務に携われます。
要するに〝コンテンツの文脈をつくっていくお仕事〟になりやすいのです。
この場合、型に当てはめるコンテンツ制作ではなく、顧客像(事前に取り決めた読者像)や紹介した商品ありきで始まるコンテンツ制作になりますから、作業感はなくなります。
ですから「SEOを無視する」のではなく「文脈からつくる」ところから携われる仕事を見つけると(仕事満足度的にも報酬的にも)良いのではないかと思います。
つづけて熱い文章についてですが、熱い文章とはどういうものでしょうか?
そして、その熱い文章を書くことで、クライアントや読者にもたらされる価値は増幅されるのでしょうか?
両要素を明確にすると、熱い文章を書くことで受注単価が上がるのか、替えの効かない人材になれるのかが分かると思うのですが、やや材料不足なので今回は答えを出すことはできなさそうです。
ただ、このまま終わるのも消化不良感がありますから、もう少し深掘りしてみます。
僕なりに、ここでは熱い文章を「読者の感情を動かすような文章」とざっくり定義します。I. J.さんの思う熱い文章も同じ定義だとラッキーなのですが……
読者の感情を動かす文章には、価値があると思います。
では、読者の感情を動かす文章とはどのようなものでしょうか。
- 話し言葉を使った文章?
- 「ドン底から逆転」の物語?
- 大げさに共感をあおる創作要素?
思うに、どれも本質的なものではありません。
読者の感情を動かす文章は「情報に対する光の当て方」と「情報を伝える順序」が計算されたものを指す……と考えています。
情報に対する光の当て方は「コピーライティングと記事執筆との関わり方について伺いたいです」の回答が参考になるかと思います。
要するに、冒頭の定義をもとに「私にしか書けない熱い文章」を具体化すると「私が読者のほうをむいて文脈(光の当て方と伝達順序)を考えた文章」となるのです。
これは奇しくも、回答前半に述べた「SEOを無視するのではなく文脈をつくる仕事をしよう」と被ります。
つまり、I. J.さんが現状、あるいは今後の課題として抱えているものは、おおよそ〝コンテンツ制作の根本から関わる仕事〟に従事することで解消されるのではないでしょうか。
ご参考になれば幸いです。