独立してから「どんな提案文を書けば仕事をいただけるのか」をずっと考えてきました。
仕事をくださったクライアントに採用理由を聞いたり、ときに自ら発注者となってライターを募ったり、提案文の精度を上げるために出来ることは何でもやったつもりです。そして、提案文における「仕事をとれる / とれない」の違いを探りあてました。
結論から述べると……
- 使い回し感のある提案文にしない
- 役に立てる根拠を分かりやすく伝える
- 堂々と自身がプロであることをアピールする
なのですが、当ブログには「このくらいなら、すでに意識していますが……」というライターさんが訪れますから、発展系として「未経験分野のライティング案件を開拓できる提案文づくり」について解説します。
これまでに得た提案文づくりの知見をここに共有するので、ぜひライター活動にご活用ください。
この記事の執筆者
2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。
ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『文章起業』など文章を題材にした著書複数。2022年からYouTube運営に注力。
―― 留意点
本記事の内容はいずれも「クライアントに貢献したい」という思いのあるライターに活用いただきたい内容です。利他意識に乏しくても仕事獲得が叶うほどのアイデアではありますが、うまい提案文による成約はあくまで入口であり、長期契約の実現には他者貢献の意識が不可欠である点には留意したいところです。
未経験分野の案件を逃さない提案文の書き方
提案文において、我々ライターが「どう書けば良いのだろう」と深く悩む瞬間は〝執筆実績のない分野〟に応募するときかと思います。自分のなかにアピールポイントを見つけられず、どのように売り込めば良いのか、そもそも応募して良いものか迷ってしまうのです。
……実のところ、いずれも些細な問題です。
- 「業界情報を追っている」とアピール
- ブログに当該分野の記事をアップする
- 別分野の実績をずらしてアピールする
このような対応をとれるようになれば、未経験分野の仕事であっても任せていただけますし、一度「未経験分野でも任せてもらえるんだ」と成功体験を得れば、つぎからは気後れせず〝やりたい仕事〟に応募できるようになります。
「業界情報を追っている」とアピール
ライティング案件と自分をつなぐアピールポイントは「その分野の記事を書いたことがある」だけではありません。
- その分野のメディアを購読している
- その分野に携わっている友人・親族がいる
上記のいずれかを提案文に盛り込めば、アピールポイントの出来上がりです。本当のことを書く必要はありますが、とくに「メディアを購読している」という状況は能動的につくれるためハードルになり得ません。
たったこれだけで〝当該分野に関心がある or 関心を持とうとしている〟ことを伝えられます。
「実績がなく、さらに当該分野には無関心に見えるライター」と「実績はないものの、当該分野に強い関心を持っているライター」が並んだとき、両者は発注者側にとって異なる印象を与えます。前者は募集案件に対するモチベーションが低く見積もられ、後者はモチベーションが高いと評価される傾向にあるのです。
もちろん両者とは別に実績豊富なライターの応募があれば、発注者側は「より記事品質が担保されそうな人材を採用したい」といった心理になると予想されますが、関心がある未経験ライターに限っては実績豊富なライターに太刀打ちする術があります。
発注者側はライターの実績だけを見ているわけではないからです。
- 希望報酬額はいくらなのか
- 初稿納品日はいつなのか
- 月間対応数は何記事か
上記の事項において発注者側にとって有利な提案を出すほど、未経験ライターにも勝機が見えます。
クラウドソーシングでは「すでに掲載案件に提案しているライターのプロフィール」を見れますが、そこから実績豊富なライターの存在を確認できたときには、ディスカウントなり即日納品なり大量納品なりを合わせて提案すれば良いのです。
ここまでの戦術を提案文にどう盛り込めば良いのか、サンプルをご用意しました。募集案件は【Kindle出版に関するSEO記事制作の依頼】であると仮定します。
はじめまして、ライターの藤原将と申します。
参考:藤原将『未経験から稼げる「書く副業」のはじめ方』ユートミー出版
Kindle出版に関心があり、日ごろからWebメディア「Kindle出版攻略マニア」を購読しているため、得た知識を活かせると思い応募しました。また、前述のメディア購読と並行して出版プラットフォームやKindle著者の発信もチェックしており、業界の最新トレンドを把握しております。
Kindle出版関連のライティング経験はないものの、普段から分野をまたいでライティングをお任せいただいているため、メディアが設定する読者像・テーマに合わせて柔軟に対応できるかと存じます。
分野こそ異なりますが、以下の記事が文章力の参考になれば幸いです。
・サンプル記事を載せる
・サンプル記事を載せる
現在、スケジュールには余裕があるため、募集概要の条件であれば1か月に〇本の記事制作が可能です。納期厳守、24時間以内の返信を徹底しておりますので、信頼に足るライターをお探しであれば、ぜひお任せください。
ご多用のところ恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
ブログに当該分野の記事をアップする
「執筆実績がないなら、自らつくってしまえば良い」との考え方から生まれた提案文づくりの手法です。
以下に掲載する自著引用は〝未経験分野の案件募集へ事前に備える〟という観点での振舞いですが、これをすばやく実行すれば提案したい案件を見つけてから実践しても機能します。
・不動産関連の記事制作に興味がある
引用: 藤原将『未経験から稼げる「書く副業」のはじめ方』ユートミー出版
→不動産に関する記事を書いてみる
・商品レビュー記事の制作に興味がある
→商品レビュー記事を書いてみる
・インタビュー記事の制作に興味がある
→インタビュー記事を書いてみる
このように、特定のジャンルについて書く仕事を受けたいなら、そのジャンルを題材としてブログ記事を書いてみる……
ある形式(レビュー記事、インタビュー記事等)で書く仕事を受けたいなら、その形式にのっとってブログ記事を書いてみる……といったふうに工夫し、二手三手先を見据えて行動してみましょう。
今後、仕事にしたい分野・種類の記事を用意しておくと、自身が受けたい仕事のライター募集を見つけたとき、すぐに「こんなイメージで書けます」とブログ記事を添えて自己PRのメッセージを送れます。
現在は非公開にしていますが、以前はわたしもブログに〝今後挑戦したい分野の記事〟を書き、アピール材料として提案文に添付していました。
別分野の実績をずらしてアピールする
この戦術では「提案先のメディアに求められるコンテンツ」と「過去に制作した実績記事」を以下の観点から見比べます。
- 扱う商材(無形 or 有形、少額 or 高額など)
- 読者属性(年齢・性別・趣味嗜好など)
- テイスト(親密 or 厳か、伝統的 or 先進的など)
すべてが真逆のメディアは少ないはずですから、おそらく共通点をいくつか見つけられます。共通点を見つけたら、それを述べて「本案件と近しい条件のメディアにて記事を書いていました」と提案できるはずです。
もしも不安があるなら、最初に挙げた方法(業界情報を追っているアピール)と組み合わせても良いかと思います。
はじめまして、ライターの藤原将と申します。
Kindle出版に関心があり、日ごろからWebメディア「Kindle出版攻略マニア」を購読しているため、得た知識を活かせると思い応募しました。過去に携わっていた案件では、まさに本件のような「〇〇向けの少額無形商材」の販売をゴールとして記事制作を行っていました。
Kindle出版関連のライティング経験はないものの、普段から分野をまたいでライティングをお任せいただいているため、メディアが設定する読者像・テーマに合わせて柔軟に対応できるかと存じます。
さらに二番目の方法(ブログに当該分野の記事をアップする)も組み合わせると、より効果が期待できます。ぜひお試しください。
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