本格的にYouTube運営を始めて1年と少しですが、振り返ると常にパクリ・パクられ問題で騒がしいように思います。
SEO記事を書いていた時代から「パクリ」は身近に飛び交うワードでしたが、自分自身の基準に照らし合わせたとき「こりゃひでぇ」と思うものもあれば、一方では「どこがパクリなのか自分は分からない」と思うものもあり、向き合うことが難しい問題とも感じます。
要するに、以下1番目のケース以外は個々人で明らかに基準が異なり “正解が見えにくい” とも思うのです。
- 法律に抵触するケース
- 運営に悪影響が出るケース
- 自分自身の心が痛むケース
私自身、心の中で整理したい問題だったため、上記の3視点から考えをメモしてみます。当然ではありますが、本記事の内容は万人にとっての正解とは思いません。
法律に抵触するケース
法律の専門家ではないため細かな言及は控えますが、テレビやアニメの録画を主体にしたコンテンツには怖くて手が出せません。
テレビやアニメや漫画の素材をガンガン流していながら「このレベルならグレーだと思う」と主張する事例を見ますが、正直「真っ黒じゃないの?」と感じることも多々あります。
このレベルになると、むしろ周囲からパクリとすら言われませんが、個人的には最もやってはいけないパクリパターンだと考えています。
運営に悪影響が出るケース
次いでパクリ問題の火種になりがちなケースは「人気chの動画スタイルを真似る」というものです。
たとえば『テムテムアニメ【コント】』というYouTubeコントアニメchは、私の知る限り『国さんアニメ』のパクリだとよく言われていました。その『国さんアニメ』もまた『【マオメエアニメ】くじら先生と仲間たち』のパクリだと言われていた記憶があります。
それからしばらく経ち、どれも今では人気chで大勢のファンを抱えており、個別のチャンネルとして認識されている印象です。
私自身の感覚では、先ほどの事例は先人の表現方法を模倣する部分が強いものの、極めてネガティブなニュアンスでパクリ認定される程度ではないと感じます。
舞台設定や物語部分、台詞や固有名詞のどれかが併せて模倣されているならともかく、執筆時点では「これ(表現の形式)をパクリだと糾弾するなら世の中すべてパクリじゃん」とも思うわけです。
このほか、どれくらい真似るかにもグラデーションはありますが、個人的な基準として「企画の方向性」や「動画の構造」や「テロップフォント・座布団の雰囲気」のどれかを真似て、先人が開拓した “見やすい動画” の作法を参考にする行為はモラル的にも問題を感じません。
一方で、動画内に登場する台詞・解説文の重複率が極めて高かったり、考察系動画にもかかわらず他ch独自と思われる考察の過程~結果と同一だったりするなら、一度パクリを疑うかもしれません。もちろん可能性として「たまたま同じ形に至った」というケースは起こり得るので、安易にパクリ認定して公言するのは危ういとも思いますが。
……と、人気chを真似る行為にも観点や指摘点はいろいろとあるわけですが、どこを見てどう問題提起するのかは個人の価値観によるところなので、各々が勝手に「パクリだ、パクリじゃない」と線引きする状況もある意味 “健全” の範疇にあると考えます。
むしろパクリ問題のキモは「模倣された側がどう判断・対応するのか」ですが、参考先から盗作疑惑をかけられないよう許可を取ったり、自分が視聴者だとして「盗作だ」と感じる方向の模倣は避けたり、あるいは、そもそもその領域に踏み入らない……という対応が現実的だと考えます。あらゆる意味で自己責任です。
そして、私がもっと注意深く判断すべきと思っているのは、その模倣が運営に悪影響を及ぼすか否かです。言い換えると「パクリ認定する声の多さ」に注意を向けるのではなく、「その模倣が自chにいい影響をもたらしているか」に注意を向けています。
たとえば、人気ch(A)があったとして、その運営スタイルを参考にした新規ch(B)があったとします。このとき(B)が運営を続けていくなかで後者の評価を獲得していけば、その模倣は正解だったと思うのです。
- (B)は(A)のパクリだし完全下位互換でつまらない(模倣が悪影響に偏った状態)
- (B)は(A)のパクリだと思ったが、違った視点・面白さを提供してくれて別の価値を感じる(模倣が好影響に偏った状態)
少なくとも「絶対に誰にもパクリと言わせない」ことを目指し、それを主因に箸にも棒にも掛からないコンテンツを生み出すより、後者の方がYouTubeによいエンタメを提供できていると考えています。
自分自身の心が痛むケース
先人を模倣したスタイルが市場に受け入れられたとしても、自分自身が「こんなパクリコンテンツで数字を出しても自己嫌悪に陥るだけ」と思うなら、早々にやめて自分が納得できるスタイルでコンテンツを創ればよいと考えています。
自分の納得を優先して、たとえ一時的に数字が落ちたとしても愚直に進むほかありません。
納得を優先したばかりに望んだ成果から遠ざかるなら「YouTubeに向いていない」と判断し、別のお仕事を探すのも1つの道です。いま一度、自分が切り捨てた過去の手法に立ち返りながら、どこかで折り合いをつけて模倣を取り入れることも1つの道だと思います。
誰にも批判されず、誰も傷付けず*、自分が納得できる形で果実を得続けるのは極めて難しいはずですから、どのような方針で活動を続けるのかよく考えた方がいいな……と常々感じます。
*当然、故意に傷付けるのは論外ですが。