藤原 将

    筆者はSEO記事、電子書籍、メルマガ等の執筆を得意とする歴7年目の社長ライターです。
    ――Twitter著書電子出版社

    SNSで、取引先とのメールで、WordPressを使ったブログ更新で。

    私たちは、普段からさまざまな場面で文章を書いて、相手へメッセージを伝えています。

    しかし、”読みやすい文章” を書ける人って、実はそれほど多くありません。私たちは、生まれてから大人になるまでの期間、ほとんど文章の練習をしないのですから当然です。

    今回は、読みやすい文章の書き方を【準備編・書く編・見直す編】に分けてご説明します。

    この記事を読み終わるころには、あなたの言葉は伝えたい相手へ的確に伝わるようになります。

    1.読みやすい文章の書き方【準備編】

    読みやすい文章を書けるか否かは、書くまえの準備にかかっています。

    まずは3点、超重要なポイントをピックアップしました。

    (1)伝えたいことを一覧で書き出す

    読みやすい文章とは、イコール “メッセージが分かりやすい文章” です。

    「Aではなく、Bの可能性も低い。Cの確率も考えられるけど、やはりDだろうか」みたいに、いつまでもメッセージがハッキリしない文章は読みづらいのです。

    こうならないよう、文章を書くまえに伝えたいメッセージを明確化しておくことで、あっちこっちに話がブレることなく筋の通った文章を書けます。

    (2)誰に伝えたいのか設定する

    誰に伝えたいのか設定して、相手にあわせた言葉選びを心がけなければ、主張は上手く伝わりません。

    たとえば「この行為は法律で禁止されている」と伝えたいとき、相手が子どもなのか大人なのかによって、ベターな伝え方は異なります。

    相手による伝え方の違い

    大 人:この行為は法律で禁止されている
    子ども:これは、えらい人が「ダメです」ってきめているんだよ

    仮に、伝える相手にあわせることで言葉の密度が薄くなり、込められるメッセージが本来の70%になったとしても、読解力の問題によって伝達率ゼロになるよりはマシです。

    あらかじめ誰に伝えたいのか設定し、「相手は〇〇だから、この言葉を使おう」と決めましょう。

    (3)文章を読んで、どう思ってほしいのか考える

    メッセージを一方的に伝えるだけでは、相手に戸惑いを与えるケースがあります。

    たとえば、会社の部下からこのようなメールが来たら、あなたはどう思うでしょう?

    avatar
    部下
    〇〇さん! A社に見せる企画案の資料データ、不手際で消えてしまいました……

    この一文で、何が起こったのか伝わってはきます。

    しかし、データが消えたことに対する指示を仰いでいるのか、すでにデータの再作成をしており報告をしてくれただけなのか不明です。

    • メッセージの受け手に何を思ってほしいのか
    • メッセージの受け手にどう行動してほしいのか

    ここまで書かなければ、完全な読みやすい文章にはならないので、メッセージを伝えた先の相手に求めるアクションまでイメージしましょう。

    ここまで来て、ようやく文章を書く段階に入ります。

    2.読みやすい文章の書き方【書く編】

    【書く編】では、事前準備の段階で洗い出した3つのポイントを、いかにして読みやすく書き進めれば良いのかご説明します。

    (1)主語・述語・修飾語を使い明確に説明する

    相手に何かを伝えるとき、主語と述語が明確であるか否かは「メッセージの伝わりやすさ」に大きな影響を与えます。さっそく、主語と述語の使い方について確認していきましょう。

    • 主語(何が・誰が)
    • 述語(どんなだ・何をした)
    • 修飾語(主語・述語を詳しくする)

    「田中さんが、青いファイルを取った」という文章を例にすると、主語は「田中さんが」となり「取った」が述語に該当します。

    何を取ったのか詳しくあらわす「青いファイルを」は修飾語です。この一文は、主語と述語が明確であり、修飾語によってどのような状況になっているのか具体的に解説できています。

    一方、これはどうでしょうか。

    • 青いファイルを取った。
    • 田中さんが取った。

    「青いファイルを取った」では、誰が青いファイルを取ったのか分かりません。後者の「田中さんが取った」も主語と述語はあるため意味は通りますが、この一文では何を取ったのか分からず状況を思い浮かべられません。

    話し言葉であれば、身振り手振りや会話の流れから多少足りない説明でも通じますが、インターネット上の記事ではそうはいきません。

    ボディーランゲージを使えないことはもちろん、読者は記事を飛ばしつつ読んでいるため、前後の文脈をくみ取ってくれない前提で書く必要があるのです。

    そのため、Webライターには、どの場所から読んでも読者に正しく情報が伝わるよう、主語と述語と修飾語を明確に書き記す心がけが求められます。

    (2)意味の切れ目で読点をうつ

    実は、読点(、)は非常に奥が深いため、活用法すべてを一度にはご説明できません。

    しかし、おおよそ「接続詞のあとや、意味の切れ目で使うもの」と覚えておけば、読みやすい文章を仕上げるには十分です。

    接続詞のあとに読点をうつ

    読点なし:しかしながら僕は寿司を食べられない。
    読点あり:しかしながら、僕は寿司を食べられない。

    「しかしながら」のほかにも、「こうして」とか「一方」とか「とはいっても」のあとなど、読点を接続詞の後ろに付ける機会は多々あります。

    また、意味の切れ目で使えば、主語と述語を理解しやすい文章になります。

    意味の切れ目で読点をうつ

    読点なし :彼は涙を流しながら震える私の肩を抱いた。
    読点あり1:彼は、涙を流しながら震える私の肩を抱いた。
    読点あり2:彼は涙を流しながら、震える私の肩を抱いた。

    読点のない一文目は、彼が涙を流しているのか、私が涙を流しながら震えているのか分かりません。

    しかし、二文目はハッキリと「私」が涙を流して震えているのだと分かります。

    そして、最後の一文は「彼」が涙を流し、震える「私の肩」を「彼が抱いた」のだと分かるのです。

    読点をうつ場所1つで、ここまで意味が変わってしまいます。ですから、ちゃんと意味の切れ目で読点をうつように心がけなければなりません。

    (3)一文が長いなら主語と述語を近づける

    実は先ほどの「彼は涙を流しながら震える私の肩を抱いた。」という文章は、どこに読点を付けたとしても “とても読みやすい文章” とは言えません。

    なぜなら、主語と述語が離れているからです。一文が長いとき、主語と述語を近づけるよう意識するだけで、文章は各段に読みやすくなります。

    彼は涙を流しながら震える私の肩を抱いた。」における主語は「彼は」です。一方、述語は「私の肩を抱いた」です。

    これら2つの言葉が近いほど、状況説明としての分かりやすさは向上します。

    たとえば「彼は、私の肩を抱いた」という一文にすれば、どういった状況なのか分かりやすいですよね?

    ただし、ここまで表現を簡素にしてしまうと、本来伝えたかったメッセージが伝えきれない懸念もあります。

    ですから、できる限り「彼は、私の肩を抱いた」に近づけつつ、表現の豊かさを保つ文章に変えてみましょう。

    主語と述語の位置を近づける

    A:涙を流しながら震える私の肩を、彼は抱いた。
    B:震える私の肩を、彼は涙を流しながら抱いた。
    C:彼は、震える私の肩を抱いた。涙を流しながら。

    主語と述語が近づくことで、よりメッセージが鮮明に伝わる感覚を得られませんか?

    正直、ここで例に挙げた一文は長くないので、人によっては効果を感じられないかもしれません。

    しかし、一文が長くなるほど “主語と述語の距離” は読みやすさに直結するので、注意を向けてください。

    (4)一文ですべて伝えようとしない

    一文で伝えるメッセージを1つに絞ることで、文章は各段に読みやすくなります。

    文章構造が単純になるほど、その構造を読み解くエネルギーが小さくなるからです。

    一度に多くのメッセージを伝えようとすれば、つぎのような文章を書いてしまいます。

    メッセージを詰め込んでしまっている例

    交流の輪を広げたり仕事の受発注ができたり、ツイッターを利用するメリットはたくさんある反面、タイムラインを眺めて時間を浪費したり他人と比べがちになったり、隠れたデメリットも同じくらい多く潜んでいる。

    これほど多くのメッセージを詰め込めば、一文を読み終わるころに「あれ、最初にどんなこと言ってたかな」と忘れてしまいます。

    つまり、メッセージが伝わっていないのです。

    下記は、最初の一文を分割して、一文あたりのメッセージ量を絞ったものです。

    一文あたりのメッセージ量を減らした例

    ツイッターを利用するメリットは2つ挙げられます。交流の輪を広げられることや、仕事の受発注ができることです。

    一方、タイムラインを眺めて時間を浪費したり、友人の自慢話を見て自分と比べてしまったり、いくつかのデメリットもあります。

    まだまだ絞る余地はあるものの、この程度でも「メッセージを絞る効果」は伝わったはず。

    読みやすい文章は、一文に込めるメッセージを絞ることで作れます。

    (5)並列の要素は箇条書きにする

    並列の要素は “同じグループ同士の言葉たち” です。

    たとえば、つぎの言葉たちは「フルーツというグループ」に分類できる並列の要素です。

    「フルーツ」というグループに分類できる要素

    りんご・なし・ぶどう・みかん・きうい・いちご

    これらを文章のなかに使いたいとき、一度にそのまま使うと読みづらい文章になってしまいます。

    並列の要素をそのまま書き記した場合

    私の好きなフルーツは、りんご・なし・ぶどう・みかん・きうい・いちごです。

    どうでしょう? 読みづらいですよね。

    でも、これを箇条書きに変えることで、一気に読みやすい文章になります。

    並列の要素を箇条書きにする

    私の好きなフルーツは、6つあります。

    ・りんご
    ・なし
    ・ぶどう
    ・みかん
    ・きうい
    ・いちご

    この6つが、本当に大好きなんです。

    箇条書きではない場合と比較して、ずいぶんと各要素を把握しやすくなっていませんか?

    僕は、並列の要素が3つを超えて連続するあたりから、「ここは箇条書きを使ったほうが読みやすいかな?」と考えます。

    並列要素の “粒度の違い” は厄介

    並列の要素を箇条書きにするとき、”粒度の違い” には気を付けてください。

    「A・B・C・D・E・F」は、すべて粒度が揃った並列要素だといえます。

    しかし「A・B・C・D-1・E・F-1」みたいな状態は、粒度がバラけていると表現されます。

    先ほどのフルーツを例にすると、粒度のバラけは以下のようなイメージ。

    要素の粒度がバラけている

    私の好きなフルーツは、6つあります。

    ・りんご
    ・なし
    ・ぶどう
    ・デコポン(みかん)
    ・きうい
    ・あまおう(いちごの種類)

    この6つが、本当に大好きなんです。

    りんご・なし・ぶどう・きういは「果物の大まかな種類」である一方、デコポン・あまおうは「果物の品種」です。

    つまり、扱っている要素の詳しさが、途中からバラけてしまっているのです。

    粒度の違いは、読み手の混乱を招く原因になるため、できる限り同じ粒度の要素を並べるよう心がけましょう。

    (6)トートロジー(同語反復・類語反復)を避ける

    トートロジーと聞けば、イメージがつかないかもしれません。

    簡単に言えば、ある事柄を述べるときに堂々巡りとなり、結果的に何の説明にもなっていないことをトートロジーと言います。

    以下は、その一例。

    トートロジーの一例

    ・それは明らかに確定的です。
    ・減価償却とは、減価を償却することです。
    ・彼以外は、彼ではないからです。

    トートロジーは、文学的な響きを感じる表現であるため、歌詞や小説に使われることはあります。

    しかし、メッセージを正しく伝えるといった観点から言えば、無駄な文章を増やしているに過ぎないため使うべきではありません。

    (7)こまめに改行する

    【書く編】のうち、最も簡単なテクニックです。

    実は「改行のない文章は、詰まっていて読みづらい」のです。

    本記事の冒頭の文章から、改行を抜くと下記のようになります。

    もしも改行がなかったら

    SNSで、取引先とのメールで、WordPressを使ったブログ更新で。私たちは、普段からさまざまな場面で文章を書いて、相手へメッセージを伝えています。しかし、”読みやすい文章” を書ける人って、実はそれほど多くありません。私たちは、生まれてから大人になるまでの期間、ほとんど文章の練習をしないのですから当然です。

    文章ビッシリ、読みづらい

    そう感じるのは、僕だけじゃないはず。ここまでに解説したテクニックを使えば、ある程度は読みづらさをカバーできるものの……やはり読みづらいと感じます。

    「話がひと段落ついたな」と思う部分で改行、また同じように改行。といったふうに改行していけば、適度に余白のある読みやすい文章に仕上がります。

    3.読みやすい文章の書き方【見直し編】

    一通り文章を書き切ったら、ちゃんと読みやすい文章になっているのか確認するため、頭から全文見直していきます。

    【見直す編】では、その際に意識するポイントについてご説明します。

    (1)断定を避けた回りくどい表現を削る

    仕事のメールやSNSの投稿に書くメッセージを送るとき、「自分が書いた文章は正しく伝わるだろうか」と気になるものです。

    その心配が強いほど、勘違いされることを恐れて保身のための言葉を入れがちです。

    たとえば「〇〇ではないのですが」とか、「もちろん〇〇の可能性もありますけれど」みたいな言葉が当てはまります。

    こういった “保身のための言葉” を加えるほど、メッセージは伝わりづらくなるのです。

    【準備編】の段階で「伝えたいこと・相手・思ってほしいこと」を明確化し、【書く編】の注意点さえしっかり守れば、思っていることはストレートに伝わります。

    そのメッセージを曖昧にする余計な言葉は、勇気を持って削っていきましょう。

    (2)各セクションをまたいだ内容の重複を削る

    長い文章を見直していると、恐らく「この内容、さっきも出てきたな」と思う箇所が見つかります。

    何度も同じ内容を伝えて良いのは、その文章を通じてどうしても伝えたいことのみです。

    どうでも良い前置き、解説を何度も繰り返せば文章は読みづらくなりますから、各セクションにそれぞれ似たような内容がないのか確認しておきましょう。

    (3)文末のバリエーションに配慮する

    “文末のバリエーション” は、文章を書くことを仕事にする人でなければ、意識するほどのことでもありません。

    しかし、読んでいて心地の良い文章を目指すなら、文末の配慮は大切です。

    同じ文末が複数回連続すると、読者は「この文章、子どもが書いたみたいに稚拙だな」と感じてしまうからです。

    文末に変化がない場合

    今日は快晴です。散歩をすると気持ち良さそうです。しかし、間もなく出勤の時間です。いっそ、仕事なんてすっぽかして、川近くの公園でさぼりたい気分です。

    下手、あるいは稚拙なイメージを抱きませんか? これは文末に変化がなく、表現が単調になっているためです。

    文末に変化を加えた場合

    今日は快晴です。散歩をすると、気持ち良さそうだと思いました。しかし、間もなく出勤の時間。いっそ、仕事なんてすっぽかして、川近くの公園でさぼりたい気分です。

    文末にバリエーションを持たせることで、ずいぶんと稚拙な印象が改善されましたよね? 一気に、品性のある文章に仕上がるので、読みやすい文章を追究する場合は意識してみてください。

    最後に「です・ます調」で使える、文末のバリエーションをいくつか列挙しておきます。

    です・ます調で使える文末のバリエーション

    ・~です
    ・~ます
    ・~ません
    ・~しました
    ・~ください
    ・~ましょう
    ・~というもの
    ・~しておきます
    ・体言止め(『間もなく出勤の時間』のように名詞で終える)

    4.まとめ

    読みやすい文章は、書くまえの準備段階があってこそ生み出せるものです。

    行き当たりばったりで文章を書いて「上手く人に伝わらないな」と悩んでいる方は、今回ご説明したテクニックをご活用ください。

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