
月100万円稼いだライターが使う
爆速リサーチの手順&コツ
リサーチ時間が短縮された実例あり
「1日に2,500文字しか執筆できない」
「正直、リサーチが苦手です」
ライティング講座を運営する筆者のもとには、上記のような相談が多く届きます。
良い記事を書くためにリサーチは不可欠であるため、間違っても「手を抜いて時短するといい」とは言えませんから、赤裸々に〝月100万円稼いだWebライターのリサーチ論〟を公開します。
時間を味方につける、という意識を持てるか否かが問題解決のカギです。
リサーチを効率化してライティング時間を短縮し、クライアントからも良い評価をもらう欲張りテクニックを持ち帰ってください。
この記事の執筆者

2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。
ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『文章起業』など文章を題材にした著書複数。2022年からYouTube運営に注力。
現役Webライターが使う〝爆速リサーチ〟のコツ2つ
初めに現実をお伝えします。
リサーチはいきなり早くはなりません。
今すぐ効果を発揮する時短は、代償として賞味期限が短く、Webライターの地力(本来の能力)を底上げする方法にはなり得ません。
わたしが推奨する方法は最低でも1か月、実例ベースで言うと2か月から3か月目に効果を発揮します。
その方法論は2つに分類できます。
- 本リサーチの前に基礎知識をインプットする
- 調べたことを次回も引き出せるよう整理する
同じ分野の記事を書いているにもかかわらず、いつまで経っても記事制作のたびに〝同程度のリサーチ時間〟を費やしているなら、上記を実践できていない可能性があります。
本リサーチの前に基礎知識をインプットする
わたしはライティング分野のリサーチを効率化するため、本リサーチの前に「当該分野の基礎知識を網羅的に扱った書籍を読む」ことを推奨しています。その後、依頼されたテーマの競合を参照して本リサーチを行い、記事作成へ入る流れを基本としてきました。
不動産投資の記事作成を例にすると、以下のようなイメージとなります。
- 『不動産投資の教科書 1年生』のような書籍を1、2冊読む
- 依頼されたテーマの競合(上位記事)を開き、読み込む
- 競合の良い部分、足りない部分を読者目線で洗い出す
- 上記を土台として構成案を作成し、記事を制作する
上記が、不動産投資の記事制作を依頼された際の〝初回時のライティング手順〟です。網羅的な情報源(書籍)をいくつか参照し、同テーマの競合(上位記事)を眺めて記事作成に必要だと思われる情報を集めます。
リサーチに不慣れなうちは、Googleドキュメントに「キーワード【〇〇】のリサーチノート」などと名前をつけたメモを用意し、記事制作に使えそうな情報を箇条書きで記録しておくと良いでしょう。
記事の素材になり得る情報は、出来るだけ多く集めることを推奨します。
わたしの愛読する『10倍速く書ける 超スピード文章術』の著者、速筆ブックライターの上坂徹さんも「必要以上の素材を集めておくとライティングが早くなる」という旨の主張をされていました。
上坂さんの主張は「1つの原稿に対するリサーチのやり方」であると思いますが、わたしは「中長期的な自身への負荷を減らす」という観点でも過剰リサーチをおすすめします。
常に必要量を超える情報へ触れておけば、それらを次回以降のリサーチ時に引き出す工夫をすることで、今後のライター活動における総リサーチ時間が圧倒的に短縮されるからです。

リサーチ時点で〝一見すると不要に思える情報〟を見つけたとしても、無視せずに学習の一環だと考えて調べ尽くしてください。
どこまでも関連情報を調べてしまう泥沼に入ると思いますが、それも中長期的な観点においては正解です。
なお、前述の【不動産投資について書くなら】を見た際「なぜ競合を見るのか。どのように競合を見るのか」と疑問を抱いたなら、WebライターにとってSEO記事とは何かを解説した記事がお役に立つと存じます。
こちらの記事では「SEO記事とは、読者に検索をやめさせる記事だ」という内容を話しています。
競合の参照は「ある検索キーワードに関して、読者が知りたい情報」を調査するときに有効な手法ではありますが、競合記事はあくまで「どのようなトピックにニーズがあるのか」の参考材料でしかありません。
信頼性が求められる情報に関しては、つぎの公表元からデータを参照するよう推奨します。
- 官公庁、それに準ずる組織が公表する情報
- 製品やサービスの販売元が公表する情報
- 当該分野の最大手組織が公表する情報
参考:藤原将『未経験から稼げる「書く副業」のはじめ方』(ユートミー出版)
調べたことを次回も引き出せるよう整理する
執筆経験のある分野を書いているにもかかわらず、一度目も二度目も三度目も情報収集に同程度の時間を要するなら、情報の整理が十分ではない可能性を疑ってください。
以前、わたしに相談をくださった専業ライターのKさん(仮名)は「1日に2,500字しか書けない」という悩みをお持ちでした。
- 競合を5~15記事ほど確認する
- 競合の傾向から読者に求められる記事の仮説を立てる
上記の工程を踏むと2時間かかり、いくつか工程を省略しても1時間かかったそうです。初めて携わる分野のリサーチなら1時間や2時間、もっとかかって当然ですが、制作に慣れた分野でもリサーチに多くの時間が割かれるのは大変です。
- Kさんの質問メール原文(長文メッセージのため開閉式にしております)
そこで、わたしは以下の提案をしました。
- 一語一句、精読する必要はない(傾向を読もう)
- 次回の制作のためにリサーチした情報をまとめる
とくに後者の「次回の制作のためにリサーチした情報をまとめる」は、かんたんでありながら実践者が少ないリサーチ効率化の習慣です。
具体的には、ExcelやGoogleスプレッドシートを利用し、下記基準にもとづいて情報を再利用できるようにまとめていくことを指します。
ある分野に対する初回のリサーチ時は、大量に時間を投じて調べる。けれども調べたことはまとめ、二度目はすぐ引き出せるよう工夫する。
主観による偏った情報を組み込まず、事実だけを盛り込んでデータベース化しておけば、次回リサーチをするとき容易に復習ができます。コツと言えるほどの留意点はないため、どのようにまとめれば良いのかイメージしていただけるよう一例を挙げます。
●●制度 20XX.X時点 | XX年に施行された制度。適用対象は従業員●名以上の国内企業。ただし●●などの非営利法人は同制度の対象から除外されている。 |
△△規制 20XX.X時点 | XXを目的とする規制。もともと施行されていた▽▽規制を強化する内容となっており、罰則は最大△△万円に引き上げられている。 |
□□協定 20XX.X時点 | XXで施行された枠組み。□□ヶ国の代表による□□会議を起点として、□□などの地域が参加する形でスタートした枠組みである。 |
これは一例ですから、よりご自身に合う方法があればそちらを採用してください。
筆者推奨のライティング手順と各工程のコツ
ここまでの言述を踏まえつつ、Webライター歴7年目を迎えた筆者はどのように仕事を進めているのか、未経験分野の仕事に携わるものと想定して〝ライティングの手順〟と〝各工程のコツ〟をご紹介します。
まず原稿完成に向けたライティングの手順は、以下の流れになることが多いと感じます。
- ライティング案件の受注後、リサーチを始める
- ライティング前に〝読む人〟をイメージする
- 提供価値を最大化するコツは「多く書く」こと
- 制作した原稿、リサーチ時の参照先に誤情報がないか確認
各工程のコツを交えつつ、上記の手順を紹介します。
ライティング案件の受注後、リサーチを始める
ライティング案件の受注後、具体的な記事構成まで決まっていなくても、どのようなテーマの記事を求められるのか大まかに把握していると思います。
基礎知識の学習は「大体こんな記事を書くのだろう」程度でも進められますから、わたしは記事制作時の本リサーチに備えるためプレリサーチを行うことが多くありました。
前述したような基礎知識を学習するための読書を含めて、以下の3つを実施しています。
- 基礎知識を学べる当該分野の入門書を読む
- 良質な業界情報を掲載する有料メディアを購読
- SNSを活用して当該分野の情報発信者をチェック
具体的な検索キーワードの共有、あるいは構成案の共有が行われるまで上記の3つを反復し、本リサーチの際に情報の飲み込みが早くなるよう努めてきました。
ライティング前に〝読む人〟をイメージする
わたしの場合、検索キーワードが決まった段階、あるいは構成案を共有してもらった段階から〝その記事を読む人〟のイメージを始めます。
「読む人のイメージ像を固める必要はあるのか」と疑問を抱くWebライターもいますが、読者の属性を明確化しておかなければ(不慣れなあいだは)話題の切り口や言葉選びがブレます。
たとえば、不動産投資家に景況を解説する流れであったにもかかわらず、途中から不動産販売業者に向き直って解説を始めるといった具合です。
上記のような事故は、書き手の「とにかく景況を解説しなければ」という意識が強く、一方で「誰に読んでもらい価値を届ける記事なのか」を意識できていないときに起こります。
読者像のイメージがうまくできない方もいると思いますから、わたしがよく使うコツのようなものをお伝えします。
- 記事テーマや検索キーワードから読者像をざっくりとイメージ
- 知人や家族から、上記の読者像に近い人をイメージ
- そのイメージ像に語りかける意識を持ちつつ、解説の内容と言葉選びを考える
2、3箇条目に疑問符を浮かべた方もいると思いますが、これは「身近な人への解説を想像することで、テキトーな説明を防止する」効果を狙ったものです。
誰とも知れない〝完全に空想上の想定読者〟に語りかけるとなると、詳述が面倒な部分の掘り下げをつい怠ってしまいます。
「顔も名前も知らない人が読むわけだし……」といった諦めが働き、改善の余地に気づいていても質の向上を放棄しがちなのです。
一方、具体的に顔を思い浮かべられる者を想定読者にすると「下手な解説はできないよな」と意識が働き、丁寧な解説文に仕上がりやすいのです。
提供価値を最大化するコツは「多く書く」こと
読者により大きな価値を提供できる記事(依頼主に喜んでもらえる記事)を作るなら、先方に指定された量を超える文字数を書くことから始めます。
そして、多く書いて、ガッツリと削るのです。
この方法の良いところは、記事のムラを最小にまで均し(ならし)、文章量あたりの情報密度を高められる点です。
というのも、ライティングに慣れるまでは指定文字数にうまく着地させられず、記事を書いている途中に「このままでは文字数が足りない(あるいは超えてしまう)」と気づいたのち、そこから文字数を稼ぐ(抑える)方向へ急転換してしまうことが多々あります。
これをやってしまうと、以下のような記事が出来上がります。
- 読者に必要な情報が不足している
- 読者に不要な情報が散見される
- 情報の密度にばらつきがある
- 内容の薄さを感じさせる
ライティングに慣れてコツを掴むと、指定文字数にぴったり着地させることも可能になりますが、それでもわたしは「多く書いて削る」を今も続けています。この手順を踏むことで記事の品質を一定に保ち、成果物の価値を最大化できると思っているからです。
制作した原稿、リサーチ時の参照先に誤情報がないか確認
ライティングの際、リサーチ時に収集した情報を使うこととなりますが、原稿を書き進めると同時に「ここの章にはどのリサーチ情報を使ったのか」をコメント機能を使って記録しておくよう推奨します。
コメント機能を使い、原稿の各部に情報ソースを記録しておくことで、記事を読み返してチェックする際に〝書いた原稿〟と〝情報ソース〟を見比べて整合が取れているのか確認しやすくなるのです。
手順としてまとめると、以下のイメージとなります。
- リサーチ
- 情報をもとに記事制作(その都度、使用した情報のソースをコメント機能で紐づけ)
- 執筆後に記事内容とコメントしたソースの情報を照らし合わせ
上記の下線をひいたところが、本章『制作した原稿、リサーチ時の参照先に誤情報がないか確認』で推奨する、ライティングに組み込むと良い制作手順です。

今回ご説明したポイントを意識していただくと、ご自身の能力を最大限発揮して「リサーチ時間を短縮しつつ高品質な原稿を書く」ことができると思います。
最後に、併用するとよりリサーチ時間を短縮できるツールを紹介します。ご存知のものも多いと思いますが、せわひ試してみてください。
次ページの内容は本記事の改訂前に公開していた原稿(クリックで移動)です。ここまでの内容と重複する部分もありますが、有益性を評価いただける場面もありましたので、削除せず掲載いたします。