私はWebライターとして、および発注者としてメディア運営に携わる経験があり、日々多くのWebライターとお仕事をしています。
そのなかで「今回はベストなライターさんに依頼できた」と感じることもあれば、「今回はライターさんの実力を生かせなかった」と感じることもありました。
自分の経験を生かし、今回は「Webライターに仕事を依頼する際、押さえておきたいポイント」をご説明します。
Webライターとのミスマッチを避ける方法としてご活用ください。
記事制作を外注するメリット・デメリット
コンテンツマーケティングの一環として、SEOメディアを立ち上げ運営するにあたり、記事を外注するメリットは何でしょうか? そして、メリットがあれば裏側にはもちろんデメリットがあります。
ここでは、SEO記事を内製する場合と比較して、記事制作の外注がどのようなメリット・デメリットをもたらすのかご説明します。
メリットは時間と労力の大幅削減
SEO記事をネット上に公開してアクセスを集めるためには、まとまった本数の記事が必要となります。求めるアクセス数にもよりますが、体感として20~30記事ほどアップした段階から緩やかにサイト訪問者が増えてくる印象です。
Web事業が本業ではない中小企業がSEO記事を内製する場合、担当者が1人だとすると制作できる本数は週に1~2本でしょう。Webの勉強をしつつ記事を書くことになるため、制作スピードはゆったりしがちです。
週に2本書けるとすれば、月に8本のSEO記事をアップする計算となり、このペースを続けられたとしても30本をアップするまでに4ヶ月近くかかってしまいます。担当者は必死に頑張っているのに成果はなかなか出ず、半年ほどたったころに「やはりコンテンツマーケティングはやめておこう」となれば時間も労力も泡となって消えてしまいます。
一方、Webライターに記事制作を外注すれば、月に30本の記事をアップすることも可能です。社内の担当者が納品されたSEO記事の品質チェックをすれば、現場で働いているプロと同レベルとはいえないものの、高いレベルのコンテンツを作れるでしょう。
デメリットはコストとコミュニケーションの発生
Webライターは、文章を書くプロではありますが、当然ながら貴社のビジネスモデルに理解が深い人材ばかりではありません。そのため、最初は時間を割いてコミュニケーションを取り、どのようにメディアを成長させるのか意思共有をすることが大切です。
意思共有すべきポイントについては、記事後半で解説しています。
また、WebライターへSEO記事の制作を外注するにあたり、原稿料を支払わなければなりません。記事コンテンツこそコストをかけてしっかり作り込む部分であるため、少なくとも月に10~30万円ほどの費用はかかると見積もっていたほうが良いでしょう。
僕の場合、メディアの立ち上げを担当し、どのような記事コンテンツを入れるか設計しつつ記事制作もお任せいただく契約で月20万~30万円(内容によって上下)をいただいています。
Webライターに記事制作を依頼する方法
Webライターに仕事を依頼する方法は、大きく3つ。それぞれ特長が異なるため、求めるライター像に応じた使い分けをおすすめします。
(1)クラウドソーシング
クラウドソーシングは、フリーランスと発注者を繋ぐマッチングサービスです。
クラウドソーシングを利用してWebライターを探す利点は以下の通り。
- 登録している多くのWebライターにアプローチできる
- トラブル時は運営会社が仲介してくれるため、大きな問題に発展しづらい
- クレジットカードで報酬を支払える
最大のメリットは、大勢のWebライターにアプローチできること。
むしろ、クラウドソーシングを利用せず、予算・目的・求める専門性にピタリと合うWebライターを探すほうが困難です。
また、普段はWebライターと発注者の一対一のやり取りですが、トラブルの際は運営会社が仲介してくれます。
トラブルに遭遇した経験はそこまでないものの、いざというとき頼れる仲裁者がいる点は安心。
なお、大手クラウドソーシングであるクラウドワークス・ランサーズは、いずれも報酬のクレジット決済に対応しており、キャッシュフローの圧迫を心配せず手軽に依頼できます。

(2)SNS(Twitter・Facebook)
SNSを使ったライター探しは、依頼相手の人柄を見つつ依頼相手を選びたい場合に有力な方法。
発信内容から「どのような人物なのか」が分かることが、最大のメリットです。
前述したクラウドソーシングは、プロフィール欄からWebライターの経歴・実績こそ読み取れるものの、人柄までは確認できません。
- 仕事に対する意識・姿勢はどうなのか
- 普段、どのような文章を書いているのか
- どのくらい影響力(フォロワー)があるのか
これらのポイントは、貴重な予算を割いて依頼相手を検討するうえで大切です。
また、昨今ではSNSを通じて記事をシェアし、メディア運用初期からアクセス数を稼ぐ目的で、執筆者であるWebライター自身の “フォロワー数” を意識する傾向も見られます。
依頼相手の精査に時間をかけ、マッチ度の高いWebライターを選ぶのであれば、SNSを利用したWebライター探しは手段として有力です。




ライターを探す方法は、SNS内で「〇〇ができるライターを探しています」と募集をかける、SNS内で「ライター」と検索してプロフィール欄を確認する方法がオーソドックスです。
(3)ライターのブログ・ホームページ
「〇〇(依頼したい記事のジャンル)+ライター」と検索することで、ライターのブログ・ホームページがヒットします。
これを利用してWebライター探しを行えば、実際に運営者が執筆したブログページを確認し、ライティングのスキルを確認したうえで依頼するか否かを決められます。
また、Webライターにサイト運営のスキルがあることも同時に確認できるため、ライティング+サイト運営業務の一任を見越して “メディア運用の自動化” を想定したスカウトが可能です。
やはり、サイト運営経験の有無によってメディア運用に対する理解度は変わるため、ライティング以上のスキルを要求する場合はブログ・ホームページから探す方法は有効です。




Webライターに仕事を依頼する費用の相場
Webライターに仕事を依頼する費用の相場は、大きく「ライターの実績・扱う内容・文字数・納期」の4つで決まります。
- ライターの実績:SEO・成約率で結果を出しているほど、費用は高くなる
- 扱う内容:専門性が高く、リサーチに時間を要するほど費用は高くなる
- 文字数:文字数が多いほど、制作に労力を要するため費用は高くなる
- 納期:納期が短いほど、日程調整を強いることとなり費用は高くなる
※おおまかな傾向であり、すべてのケースに当てはまるわけではない点をご了承ください。
4つある要素のうち、依頼単価に大きく影響するのは “ライターの実績” と “扱う内容” です。
これを踏まえて、過去に私自身が請けた、あるいはライター仲間が請けた仕事から費用相場をご説明します。
求めるライター像 | 単価のイメージ |
---|---|
A:取材・SEO・SNS拡散・コピーライティングが得意、あるいは実績あり。 | 文字あたり8円~ あるいは記事単価 |
B:構成作成~執筆まで可能。深いリサーチを要する分野に対応できる。 | 文字あたり3~7円 |
C:文法に注意して、レギュレーションに沿った記事制作ができる。 | 文字あたり2~3円 |
D:記事制作の経験がわずか。編集者によるライティングの指導が必要。 | 文字あたり ~1円 |
質の高い取材、あるいはSEOやSNS拡散といった集客力に自信のあるライターは、どうしても高単価な傾向にあります。
そのため、メディア運営にあたり “まとまった本数の記事制作” を継続的に依頼するのであれば、B~Dに相当するWebライターへの発注が一般的です。
依頼するとき共有する・共有してもらうべきポイント
Webライターに仕事を依頼するとき、依頼先が前述した「B」に相当するライターであっても、期待通りの成果物が納品されないケースは多々あります。
この問題は、大半が “事前の情報共有” の不足によって起こります。
- 望んでいたテイストと違う記事があがってきた
- やたらと小難しい or 稚拙な記事があがってきた
- 自社で扱う商品は法人向けなのに、記事内容は個人に書かれている
情報共有の不足が招くこれらの問題を回避するため、つぎのポイントを押さえておきましょう。
(1)費用感・納期・当該ジャンルの制作経験
記事制作を依頼するにあたり、1記事あたりの費用感・納期は最初に共有すべき事項です。
あわせて、記事制作に入るまえの段階で、Webライターの返信のテンポを確認しておきましょう。発注者側がスピード感を大切にして行動しても、Webライターのレスポンスが遅ければ計画の遅延に悩まされることとなります。
また、依頼する記事制作のジャンルに対して、どの程度の経験があるのか尋ねることを推奨します。
これにより “執筆ジャンルに対する理解度” を確かめられるほか、「このジャンルの制作経験がなく、思ったより執筆に時間がかかったから納期に遅れます」といった事態の回避に繋がるのです。
- 費用感(全章の目安を参照)
- 希望納期
- 当該ジャンルの制作経験
これらの認識を共有したのち、具体的な情報共有に進みます。
(2)メディア運営で実現したいことを共有する
おおよそ、メディア運営は集客を目的として行われるものです。
Webライターと発注者が共有すべきは「集客の先に何を見据えているのか」という部分。
これが変われば、集まった客に提示する情報・促すアクションが大きく異なるのです。
- 購買意欲の高い顧客リストを洗い出したい
- ブランドを広く認知させたい
- ネットを通じて自社商品を販売したい
- 自社の理念と合致する人材を獲得したい
上記のいずれか、あるいは複数を目的としたメディア運営を意識するのです。
たとえば、顧客リストを集めたり、サービス・アドバイスを提供したりするなら、悩み解決系の記事を作成して「ご相談はこちらから」といった風に誘導してメールアドレスを集める。
自社理念と合致する人材を採用したいなら、「わが社で活躍する女性社員に密着取材」といった自社アピール記事を作り、通称 “採用オウンドメディア” と呼ばれるタイプのメディアを目指す。といった風に変わるのです。
(3)イメージに近い「競合」となるメディアを共有する
発注者が思い浮かべているメディアの構想を、Webライターにそのまま文章・口頭のみで伝えることは困難です。
そのため、発注者が「このようなメディアを作りたい」と思えるサイトをいくつかピックアップし、Webライターに共有することを推奨します。
Webライターは共有されたサイトに目を通し、これから記事を制作・寄稿するメディアのイメージをやっと具体的に思い浮かべられます。
(4)集客したい層(ターゲット)を共有にする
集客したい層(ターゲット)は、メディア運営で実現したいことと深く結びつくポイントです。
- 客層は個人、それとも法人(企業)?
- 個人なら年齢・性別・居住地は?
- 法人なら規模はどのくらい?
僕は「代表・役員・バイト各1人の零細企業」の代表です。
なので、1のような記事を公開するメディアよりも、2の記事を公開するメディアのファンになりやすいといえます。
- 1,000人の勤怠管理がラクラク⁉︎ 2020年最新ソフトを列挙!
- 【年会費無料】一人社長が持つべき法人用クレジットカード3選
そのため、「零細企業の社長から認知されたい」とか「一人社長に適した商品・サービスを売りたい」と考えるなら、集客したい層が “零細企業の社長” なのだとWebライターに共有し、2のようなコンテンツを作る必要があるのです。
Webライターの報酬は「源泉徴収」の対象
記事制作の報酬としてWebライターへ支払う原稿料は、源泉徴収の対象となる「原稿料や講演料やデザイン料等」に分類されます。
そのため、Webライターに対する報酬は源泉徴収税を引いたものを振り込み、発注者は報酬から差し引いて預かっている源泉徴収税を「Webライターに報酬を払い込んだ翌月10日まで」に納付する必要があります。
支払い金額 | 源泉徴収する税額 |
---|---|
100万円以下 | 支払い金額の10.21% |
100万円超 | (支払い金額−100万円)× 20.42%+10万2,100円 |
参考:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」
たとえば、1記事の原稿料が5万円(税込)であれば、源泉徴収税は5,105円となり、Webライターに支払う報酬額は4万4,895円となります。
まとめ
今回ご説明したように、メディア運営のためWebライターを起用するにあたって意識すべきポイントは複数あります。
案件の発注者、およびWebライターが気持ち良く、かつ質の高い仕事をするためには、事前の入念な情報共有が不可欠なのです。
私もWebライターとして、および発注者として日々コンテンツ作成力に磨きをかけています。
より踏み込んだライター起用のアドバイスを求める方、メディア運営に関してお悩みの方は、ぜひご相談ください。