「ステップメールは何通書けばいいの?」という質問は、文書制作を生業とするライターのあいだでも意見が分かれるところです。弊社は1つのプロダクトにつき、9通構成(1シナリオ)を基準としてきました。

ここでは、9通構成とする場合に意識しているシナリオの流れをご紹介します。がっちりと型に縛られたステップメールがいいとは思いませんが、手本となる型を知っているからこそ「案内するプロダクトに合わせた崩しができる」とも考えています。

この記事の執筆者

藤原 将

合同会社ユートミー代表。2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。

ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『副業・在宅OK、未経験からはじめられる 「文章起業」で月100万円稼ぐ!』など文章を題材にした著書複数。

ステップメールが効果を発揮する条件

ステップメールは顧客育成~セールスの工程を自動化する、メールマーケティング手段の1つです。そのため、起業塾のような集まりでは「自動化・仕組みづくりのためにステップメールを作成しよう」とよく語られている印象があります。

しかし、ステップメールでは魔法ではありません。稼働させた瞬間から売上が立ち、永続的に収益を生み続ける……といった都合のいい解釈をすると、いくら時間をかけても徒労に終わります。少なくとも、今から挙げる3つの条件を満たさなければ、個人事業のステップメールは上手く機能しません。

読者の悩みを解決したいと考えている

ステップメールの運営意義の比率が「読者のため」より「自分のため」に傾くと、そのステップメールは金儲けのための道具になり下がります。

  • 金儲けのためにステップメールを運営する
  • 読者の悩みを解決するためにステップメールを運営し、その副次効果として対価をいただける状態になる

きれいごとと思われるかもしれませんが、前者は読者から金を絞るだけの下衆なシステムであり、持続可能なビジネスをつくる「関わるほどに感謝される」とは真逆のシナリオを描く道だと考えています。

筆者の体感ですが、昨今のネットユーザーは「こいつは善人の皮を被った銭ゲバである」と察するアンテナが発達しており、読み手に「騙された」と感じさせる振舞いは逆効果だと思っています。

最終的には売上獲得のためのステップメール構築であるとしても、その前段階に「読者の悩みを解決したい」という志がなければ、ステップメールは長期的に効果を発揮しません。

読者に案内したい商品・サービスがある

読者に案内したいコンテンツがないにもかかわらず、ステップメールを作っても成果は生まれません。

情報発信の質が良ければファンは増えますが、出口の用意されていない問題提起は読者を混乱させます。まずは読者の悩みを解決するコンテンツを用意して、ゴールまでの階段としてステップメールを作る意識を持つことが重要だと考えています。

シナリオを継続的に改善する意思がある

初めて作ったステップメールのシナリオは、後々見直すと改善点が潜んでいるものです。ステップメールは一度構築すれば半自動的に機能する仕組みですが、完成までにいくらかの試行錯誤が必要となる点は心に留めておいてください。

ステップメールは1シナリオ9通で考える

ステップメールに登録していただいた直後に配信する号を「1通目」とします。

ステップメールを組んだメルマガの多くは、登録後に「ご登録いただきありがとうございます」と簡単な挨拶や自己紹介が届きます。これは非常に勿体ない設計です。

時間を割いてメールを開いてくれた読者に対して、何の情報も提供しないまま〝コミュニケーション機会の1つ〟を終えてしまったのだと考えてみてください。

もちろん、1通目が簡単な挨拶だったとしても、2通目を読んでくれる可能性はあります。しかし、1通目から真っ当に情報を届ければ、もっとワクワクして2通目を待ってくれる可能性が高まるとは思いませんか?

ステップメールの本番は、登録直後に配信される1通目から始まっているのです。

1通目:不信感を抹消する

ステップメール1通目の役割は、登録した読者の皆さんに「このメルマガに登録して正解だった」と思っていただくことです。

言い換えると〝正しい期待感を与える配信〟がステップメール1通目の役割なのです。正しく期待感を与える配信に仕上げるため、1通目のステップメールどう書けば良いのか、意識すべきポイントを挙げました。

  • 「このメルマガで合ってる」と認識してもらう
  • 「私はこの題材を語るに相応しい」と証明する
  • 次回配信の内容と「なぜその配信をするか」を述べる

これだけで「なるほどね」と理解いただける方は、そのまま読み進めていただければと思います。詳しい解説をお求めの方は、こちらに「ステップメール1通目の書き方」だけに焦点を当てた記事を用意しておりますので、ご活用ください。

2通目:仮想敵を設定する

1通目では「ここで配信される内容は自分にマッチしているし、発信者も信頼できそうだ」と思われることを目標としますが、2通目は「この発信者の価値観は私にもよく馴染む」と感じてもらうために配信します。タイトルにもある〝仮想敵〟を作ることで価値観の向きを揃えるのです。

たとえば、架空のステップメール『仕事獲得の強化塾』で最終的に【無営業でも受注できる発信営業術】というコンテンツを読者へ案内するなら、2通目の段階で〝仕事獲得のために営業時間を増やす状況〟を仮想敵(の一例)とするのです。

語弊を恐れず真っすぐ表現するなら……仮想敵を設けることで「〇〇の状態は良いよね」「〇〇の状態は良くないよね」と正負を定義づけるのです。

仮想敵を聞かされたとき、読者に「私もそう思っていた」や「言われてみれば確かに」と感じてもらえれば、8通目に実施するプロダクトのセールスへ耳を傾けていただける可能性が上がります。

ただし、注意点があります。

特定の人物や組織を仮想敵に定めることは避けてください。あなたのイメージ、あるいはあなたが制作を代行する発注元のブランドイメージを毀損する可能性が高いからです。うまく仮想敵を設ける術が思い浮かばない場合には、以下の記事が参考になれば幸いです。

3通目:仮想敵の克服事例

仮想敵を克服し、2通目に述べた「〇〇の状態は良いよね」という正の状態を達成した事例を紹介します。「〇〇の状態は良くないよね」という負の状態から、正の状態へ転換できた事例を紹介することで、発信者自身が「負から正へ転じさせる方法論」を知っているのだと暗に示すのです。

基本的には、発信者自身が〝負から正へ〟を経験し、実体験にもとづいて読者にエピソードを共有できるのが理想です。ただし、企業が一般消費者に向けて配信する場合などは「弊社のお客様が、弊社のサポートにより負から正を実現した」という関係での事例紹介になります。

4通目:克服の道標を提供

主観的意見ですが「こんな克服事例がありました。こうなりたければプロダクトに申し込んでください」とだけ伝える流れは、読者を失望させると考えています。せっかく時間を割いてメールを読んでくださっている読者に対して、あまりにも発注者本位な振舞いだと思うのです。

ですから、弊社の場合は〝仮想敵克服の自走を助けるコンテンツ〟を中間地点で無償提供しています。提供するコンテンツが力ある内容なら、読者は発信者の誠意ある姿勢を認めて株を上げてくれるものと、弊社は考えています。

自走を助けるコンテンツの例

セールスしたいプロダクト
▸無営業でも受注できる発信営業術

自走を助けるコンテンツ
▸仕事獲得がうまくいかないとき確認したい25のチェックリスト

仮想敵克服の入口へ案内したり、仮想敵克服の俯瞰的視点を与えたりするものが、無償提供に適しているコンテンツの一例だと考えています。

これを提供することで、要領の良い読者は仮想敵克服に向けて自走を始めるため、結果的に「セールスされるプロダクトは不要です」という態度をとられることもありました。しかし、なかには「あの無償コンテンツに感動してプロダクトへの期待が高まりました」と意見をくださる声も挙がります。

弊社ではその状況を「売上を取り逃がした」とは考えておらず、むしろ健全であると考えています。

8日目にセールスするプロダクトを購入する人にも購入しない人にも、一定の価値提供ができているからです。「何やら商品を売りつけてくるだけのメルマガだった」と思われて、イメージを毀損する懸念を抑える役割も期待できます。

5~6通目:克服途中の試練、方法論の穴を公開

4日目に配布した無償コンテンツを見て、読者の期待が高まっているところに冷静な話題を差し込みます。テンションを高めるだけ高めておいて、うまいポジショントークでプロダクトを売り抜け、購入者を落胆させるパターンがもっとも悲惨だからです。

「必要な方にのみプロダクトを届ける」を意識すればクレームは起こりにくいですし、ポジティブな口コミの割合が高まると期待できます。そのために5~6通目では、仮想敵克服の途中で想定される試練や、無償コンテンツ(4日目)やプロダクト(8日目)の欠点を正直に打ち明けることを推奨します。

  • 克服途中に訪れる試練
  • 提唱した方法論の欠点、この方法論そのものが合わない人(合わないケース)の解説

どれをどんな順番で述べても問題ありませんが、とにかく「ステップメール内で提唱した方法論は完全無欠ではなく、〇〇のようなデメリットやリスクをはらんでいます」と明確に伝えることが大切です。

7通目:プロダクトの予告

一定数、セールスに対して不信感を抱く読者はいます。それを完全に解消する方法はありませんが、心理的な反発を抑える工夫はできます。

事前にコンテンツを「明日コンテンツを販売します」と予告して〝唐突なセールス〟を避けるよう心がけるのです。どうしてもセールスされたくない読者は、予告の時点でステップメールの登録を解除します。

仮に1~6通目のあいだにコンテンツを販売すると予告していたなら、ここで「明日に正式版を案内するのですが、本日はその試用版をご用意しました」と別でワンクッション入れるのも1つの手です。

8通目:プロダクトの案内

8通目は、ステップメールの登録から一週間がたったタイミングで届きます。(0日目に1通目が届き、7日目に8通目が届く計算)

8通目でコンテンツを案内する理由は「前週の同じ曜日に行動を起こしたから、次の同じ曜日には行動を起こしてもらいやすい」という理屈で語られるのですが、正直なところどこまで確証があるのか分かりません。

ただ、個人的には「1コンテンツあたりに一週間以上の語りを入れられるとダレる」と感じており、一週間が関係構築にかける期間の最適値の1つなのだと考えてます。

8通目に案内するコンテンツは、1~7通目で語った善悪の価値観を踏襲し、善(理想)の状態を作るための内容となっているはずです。そのため、1~7通目のあいだに善悪の価値観を読者と共有できていれば、読者の二桁%はコンテンツを手にとってくれます。

9通目:フォローアップ

「昨日案内したコンテンツはいかがでしたか?」といった切り口で、モニター依頼等で事前に収集しておいた感想を紹介し、コンテンツが第三者の評価を得ているものなのだと伝えます。

8通目で成約に至らなかった方が、9通目でコンテンツを購入してくださることもありますから、ぜひ事前に感想を集めてフォローアップ回を設けてみてください。

最後に|主要どころのメルマガスタンドは「MyASP」を推奨

仕事柄、筆者はメルマガスタンド(ステップメールの配信システム)をいくつか使用してきたのですが、「機能が多すぎて使いづらい」という状態にならず、直感的に扱えるサービスは『 MyASP(マイスピー)』だと感じました。

他のサービスでは、主要どころのメルマガスタンドであっても「操作マニュアルが古くて使い物にならない」のようなトラブルが複数あったのですが、MyASPは操作マニュアルがしっかり管理されており、大抵の問題は問い合わせなしでも解決できる印象を受けています。

フリーランスや中小企業が使用するなら、もっとも安いビギナープランで十分ですので、メルマガスタンド選びに迷った場合にはぜひMyASPを試してみてください。