
Webライターが覚えておくべき
SEO記事の基礎知識
ひとまず、ここだけ押さえておけばOK。
SEO記事は “読者に検索をやめさせること” が目的です。
「え、どういうこと?」と思ったなら、この記事を読む価値があります。
上位表示しないコンテンツを納品し続けないために、ご一読ください。
この記事の執筆者

2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。
ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『文章起業』など文章を題材にした著書複数。2022年からYouTube運営に注力。
SEO記事の「SEO」とは何なのか
1,500文字ちょっとの長い説明ですが、ここさえ読めばWebライターの主な仕事であるSEOが何なのか、ざっくりと理解できます。
SEOは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)と呼ばれる施策の略称です。簡単にいうと、書いた記事をネット検索の1ページ目に表示させるための方法です。
世界最大のネット検索の仕組みを構築しているGoogleの理念によると、ネット検索の上位には多くの人にとって有用なコンテンツが表示されることとなっています。
要するに「役立つコンテンツを作ってネット検索の1ページ目に表示させよう」という取り組みがSEOなのです。
用語だけ聞けば難しいことに思えますが、仕組みの定義そのものはいたってシンプルなのです。
しかし、どうして事業者は大勢のWebライターにお金を払い、SEO記事を量産しているのでしょうか?
実は、皆がそろって「SEOに力を入れたい」という状況には理由があるのです。
普段、ネット検索を利用するとき、どのような記事から目を通すか思い返してみてください。多くの場合、表示された検索結果の上のほうから、興味を引くタイトルの記事を探して目を通すはずです。

例に挙げた画像に写っているページの場合、1~3番目に表示されているコンテンツは「広告」と書いてあるため、これはSEOにより上位表示しているコンテンツではありません。
お金を支払って広告枠を購入しているコンテンツです。一方、広告表記のない4番目以降のコンテンツは、広告枠を購入せずに上位表示しているページです。
あなたが「Webライターについて知りたい」と思ったとき、検索結果に表示されたコンテンツのどれを最初に開きますか?
まず検索結果の1ページ目にあるコンテンツを開くのではないでしょうか。1~3位の広告ページをクリックするか否かはユーザーの性格に左右されますが、いずれにせよ上のほうから順番に見ていく場合が多いと思います。
事実、検索結果の下のほうに行くほどユーザーが記事を開く可能性は低下し、検索結果の2ページ目に表示される記事は1ページ目に比べてほとんど読まれません。
8,000万を超えるキーワードと数十億の検索結果を分析したSISTRIX社の資料(2020年7月公開)によると、検索結果の1ページ目の1位に表示されているコンテンツと、10位に表示されているコンテンツではCTR(クリックされる確率)に10倍以上の差があります。
1位と2位のあいだにすら、12.8%のポイント差があるのです。ここまでの解説における重要なポイントは「検索結果の上位ほどたくさんの人の目に入り、順位が落ちるほどクリックされない(読まれない)」ということです。
広告表記のあるコンテンツは、検索結果の上位枠をお金で買って1位や2位の場所を購入しています。広告枠の購入者は、上位表示のためにお金を払うかわりに、掲載しているコンテンツをたくさんの人に見てもらえる機会を得ているのです。
しかし、先ほど見た4位以降のコンテンツのように、広告枠を買わずに上位表示していたらどうでしょう? 広告出稿にかかるお金を払うことなく、たくさんの人に見てもらう機会を得られます。
つまり、SEO記事を作成して上位表示を達成することで、その記事自体が「無料の広告塔」として役割を果たすのです。
企業は、無料の広告塔を作って何をしようとしているのでしょうか。オフラインの世界のなかで、広告がたくさん張り付けてある場所を思い浮かべてください。
- 電車や駅構内
- バスの車内
- 雑誌
人がたくさん集まる場所、たくさん見る場所には、必ずといっていいほど広告がありますよね。
なぜなら、人が集まる場所に「この商品・サービスは良いよ」といった広告を出すと、商品やサービスがみんなに認知されて売れるからです。
たくさん人の集まる場所に広告が貼られている現象には、こうした事情があるのです。
上位表示したSEO記事も、理屈的には電車や駅構内と同じ「たくさんの人に見られる場所」であり、要するに「商品やサービスを売りやすい場所」だといえます。

この特性を利用して何らかの商品を売りたいと考える人が、ネット検索の上位を獲得するためにWebライターへSEO記事の制作を依頼しているのです。
SEO記事はどうやって作るの? 普通の記事と何が違う?
SEO記事について理解するためには、SEO記事が普通の記事と比べてどう違うのか知る必要があります。
ネット上には、世間に物申すみたいなスタンスで書かれた記事や誰かの日記がたくさんありますよね?
これらの記事とSEO記事を比べたとき、異なる点は主に3つあります。
- 誰に読ませるのか明確である
- 何を解決するのか明確である
- 「どのように読者が検索するのか」を考慮している
世情に対して自身の考えを語っている記事や、日常を記録するための日記とは異なり、SEO記事は「誰のどんな悩みを解決するのか」を練ったうえで書き始めます。
たとえば、「沖縄旅行に格安で行きました」と報告するだけの記事は、誰の悩みも解決できません。大勢の役に立つことはないため上位表示はしないのです。
しかし、費用を抑えて沖縄旅行へ行きたい人に向けて「沖縄旅行に格安で行くための具体的な方法」を記事にすれば、その方法を知りたい人にとって大いに役立つコンテンツになります。
大前提として、SEO記事は後者の「ある情報を知りたい人を助けるコンテンツ」であることが必須です。
くわえて、SEO記事は「どのように読者が検索するのか」を考慮しなければなりません。
多くの場合、ネット検索を利用するとき、ユーザーはつぎのカッコ内にあるような言葉を検索窓に書き入れます。
カップルが安く沖縄旅行へ行く方法を探している→「沖縄旅行 格安 カップル」
主婦・主夫がすぐ作れる夕飯レシピを探している→「すぐ作れる 夕飯」
おすすめドラム式洗濯機の最新情報を探している→「洗濯機 おすすめ 20XX年」
箇条書きの「」内に書き入れたキーワードがネット検索時に使われる言葉、つまり「どのように読者が検索するのか」に該当する部分です。
検索に使われるキーワード(重要な言葉)であるため、業界では検索キーワードと呼ばれています。
まとめると「誰の何を解決するのか」が明確であり、くわえて「どのように読者が検索するのか」を考慮して検索キーワードが設定されたものがSEO記事です。
SEO記事の基本的な構造について
SEO記事の基本的な構造についてご説明します。Webにある記事の型は、メディアの方針によりさまざまであるものの、このような構成となっているケースが一般的です。

1 タイトル
まず1番は記事のタイトル(主題)です。読者がネット検索をするとき、記事を読むか否かの判断は「検索結果に表示されるタイトルを見て、抱いた関心の大きさ」に左右されます。
基本的には、検索キーワードをタイトルへ入れることとなっており、タイトルは発注者自身が作成する場合もあればWebライターが作成する場合もある部分です。
Webライターであれば、タイトルを書けるようになっておいたほうが良いため、書き方は後述します。
2 アイキャッチ画像
2番目はアイキャッチ画像と呼ばれるものです。ブログ記事の顔となるパーツで、SNSに投稿されたときやホームページの記事一覧を表示したときにあらわれます。
メディアによって、文字のない画像だったり文字の入った画像だったり、あるいはイラストレーターに作成してもらったオリジナルイラストだったりします。
Webライターによる自作を求められることはごく稀ですが、文字のない画像を無料サービスからダウンロードして記事と一緒に発注者へ納品するケースもあります。
3 リード文(導入文)
3番目はリード文(導入文)と呼ばれる部分です。タイトルやアイキャッチ画像のすぐ下に表示されるため、読者が最初に読む可能性の高いセクションです。
リード文を読んだ段階で、読者が「この記事は私の悩みを解決してくれなさそうだ」と感じれば、そのあとの文章は読まれなくなります。
Webライターが書く部分ですし、記事の本文と同じくらいに重要な役割を担うため、リード文の構成は当ブログでも詳しく解説しています。
4 目次
4番目は目次です。本文の各セクションに付けられる見出し(各章の題)を抜き出したものであり、書籍の目次と同じようにコンテンツの案内図として機能します。
5 見出し
5番目は見出しです。記事にある各章のテーマを簡潔に示したもので「その章はどのような内容について説明するのか」を読者に伝える役割を持っています。
詩的な見出しを付ける必要はなく、読者に「この章にはこういった情報があります」と正確に伝達する役割が求められます。
6 見出し下の画像
6番目は見出し下に配置される画像です。アイキャッチ画像と同じく、文字のない画像だったり文字の入った画像だったり、メディアによってはオリジナルイラストだったりします。
活字が詰め込まれた記事の窮屈さを解消するために挿入されるものです。
また、見出しの文言にマッチした画像を読者に見せることで、これから触れる内容を暗に伝える役割も持ち合わせています。
7 本文
7番目から、いよいよ本文が始まります。メインのコンテンツであり、読者へ詳しく情報を伝えるセクションです。
文章をつらつらと書いていくだけでなく、箇条書きや図表を交えて情報を展開することで、可読性(読みやすさ)の高いコンテンツへ仕上げられます。
Web記事の多くは、見出しのテーマを語り終えたのち新たな見出しが展開されて「見出し→見出し下の画像→本文→つぎの見出し→見出し下の画像→本文」といった流れで進んでいきます。
SEO記事のうちもっとも重要な部分は本文であるものの、検索結果に表示されたほかの記事よりもタイトルが読者の興味を引くものであり、かつリード文(記事の導入部分)が本文に対する期待を膨らませるものでなければ、そもそも本文は読まれません。

読者の悩みをすべて解決できるだけの情報が盛り込まれていても、始まりの文章が粗末であれば誰の役にも立たないネット記事になってしまうのです。
WebライターがSEOを勉強するメリット
SEOについて理解を深めることは、イコール「狙って記事の露出(PV)を増しやすくなる」となります。
発注者に自らを売り込むときに「こんなふうに正しい日本語で文章を書けます」ではなく、「こうやって数字を出すための記事を書きます」とアピールできるのです。
恋人の両親へ初めて挨拶に行くまえ、美容室に行くものと想像してみてください。


一緒に「娘(息子)がこんな素敵な人を連れてくるなんて…」と感激させましょう!
どっちの美容師にお金を払いたいと感じますか?
どっちの美容師に「次回も任せたい」と思いますか?
支払うお金が大きくなるほど、人は後者のようなタイプに仕事をお願いしたくなります。
要するに〝結果がどのようになるかイメージさせてくれる人〟を選びやすいのです。
SEOを勉強することで、100%運と勘に任せて上位表示を狙うWebライターから、前提知識をもとに仮説を立てて上位表示を狙うWebライターになれます。
つまり、先ほどの後者の美容師に近い存在になれるのです。
そのため、SEOを学んで仕事に臨むWebライターのほうが重宝されやすく、受注単価も上がりやすい傾向にあります。
これがSEOを勉強するメリットです。
仕事に使う最低限のSEO知識を学ぼう
このページにたどり着くまでに、SEOについて少しでも調べているのであれば「SEO知識は一昼夜で学べるものではない」といわていることをご存じかもしれません。
これは本当で、Webライターの仕事では使うことのないSEO知識まで学ぶなら、基礎知識の学習だけで数ヶ月かかるでしょう。
しかし、いきなりそこまでの知識を身に付けても使う機会がなく、すぐに忘れてしまいます。
最初は「使う知識」に絞ってSEOを学習し、段階的に知識の範囲を広げれば良いと考えています。

記事前半で説明したように、SEOの知識を理解しているほどネットの検索結果の上位に表示される可能性は高くなり、より多くの人が読んで役立ててくれる記事になります。
ひいては、あなたへSEO記事の制作を任せた発注者の「うちのメディアを伸ばしたい」といった目標を叶えることとなり、あなたも読者も発注者もみんなポジティブな影響を受けられるのです。
また、初心者Webライターのなかには「私には何も武器がありません」とおっしゃる方がいますが、SEO知識を身に付ければそれが武器となります。
SEOは奥深く、専門家のなかでも解釈の分かれる部分が多いため「完全にSEOを極めました」と宣言できる日は来ないものの、SEO記事の制作に携わるものとして常にアンテナを張っておくべきでしょう。
良いSEO記事は読者に検索をやめさせる
SEO記事を「誰かの悩みをしっかり解決してあげる記事」と定義しましたが、どのような記事が理想的なのかぼんやりとしたイメージしか持てないのではないでしょうか?
もう少し掘り下げて、理想的なSEO記事のあり方についてご説明します。
たとえば、あなたが「未経験だけどWebライターになりたい」と考えたとき、どちらの記事を読めば大きな満足度を得られそうでしょうか?
- Webライターの平均収入についてのみ書いている記事
- Webライターの平均収入・必要な文章力・仕事の取り方など、幅広く書かれている記事
このような条件であれば、多くの方は後者の「情報が網羅されている体系的な記事」に、より大きな満足感を覚えます。
なぜなら、徹底的に網羅されている記事は、読者に「この記事は私の悩みを完璧に解決してくれた」と思わせるからです。
部分的な知識をくれるコンテンツもありがたいのですが、知識の全容を手に入れるためにネット検索を繰り返す手間を考えると、最初から隅から隅まで知識をくれるコンテンツのほうがありがたいものです。
部分的な知識から全部を学ぶことはできませんが、全部の知識からは部分的なことを学べますから。
ここまでの解説を考慮すると、網羅的に情報が盛り込まれたSEO記事は読者にどういった行動をさせるでしょうか?
ケースA
・疑問が解消されたので、ひとまずネット検索をやめる
・疑問が解消されたので、別の検索キーワードで検索を始めた
ケースB
・検索結果に戻って別の記事を開いていく
・同じ検索キーワードで検索を続ける
恐らく読者は、ケースAの行動を取るものと予想できます。
ケースBに該当する行動を続けたなら、それは読んだ記事が悩みを完璧に解消してくれなかったからでしょう。
何らかの不満や心配、物足りなさを感じたことが、そう行動させてしまったと考えるのが妥当です。
一連の解説をまとめると、良いSEO記事とは網羅性を備えており、読み手の悩みを完璧に解消して読者に検索をやめさせる記事だといえます。
この「読者の疑問を完全・完璧に晴らす記事を作れば良い」という前提を理解しているだけで、SEO記事制作に対する意識は高まります。
Webライターが担当するSEO知識を要する業務
Webライターが担当する業務のうち、SEO知識が必要となる領域は3つあります。
- ライティング:記事を執筆する業務
- 記事構成:記事の設計図を作る業務
- タイトル決め:記事の主題を決める業務
1番目に挙げたライティングは、Webライターのメインの仕事である文章を書く業務のことです。
結論からいうと、SEOライティングの基本は「常にどのような読者に読んでもらうか意識する」ことであり、特殊な文章術が必要となるわけではありません。
3つのうち、もっとも難度が高いのは2番目に挙げた記事構成です。記事構成は「どのような情報を読者に届けるか」を熟考し、過不足なく読者の悩みを解決するコンテンツの設計図を用意する作業です。
たとえば「沖縄旅行 格安 カップル」という検索キーワードを狙って記事制作をするにもかかわらず、単身向けの旅行情報をまとめた設計図を用意すると読者ニーズは満たせません。
このことから分かるように、完成した記事が読者にとって役立つものになるのかどうかは、ライティング前の工程である記事構成に左右されます。
最後の1つは、タイトル付けです。タイトル付けは、ネット検索時に表示される記事の主題を決める業務であり、いくつもの競合記事が並ぶなか読者を自身の書いた記事に引き入れるうえで重要な役割を担っています。
発注者や編集者など、Webライター以外がタイトル付けを担当することも多いのですが、案件のなかには「タイトル付けや記事構成、ライティングまでまるっと依頼します」と頼まれるケースもあるため、覚えておいたほうが良いでしょう。
良い「SEOライティング」の習得方法
先ほど説明した「良いSEO記事は読者に検索をやめさせる」を踏まえると、SEOライティングは「読者に検索をやめさせる文章術」だと定義できます。
つまり「この記事が一番分かりやすいから、ほかの記事は検索しなくていいや」と思わせる文章を書くことが、SEOライティングにおいて目指すところです。
SEOライティングなんて格好の良い名前が付いてはいますが、優れたSEOライティングの定義はシンプルだと考えています。
- 欲しい情報が盛り込まれている
- 話の展開が理解しやすい
- 情報が最新である
読者目線でこの3つが高い水準にあるなら、その記事はSEOライティングの観点から優れているといえます。
反対にこれら3つが満たされていないなら、読者は「この記事ではなく、ほかの良い記事を検索して探そう」と考えるでしょう。
読者に検索をやめさせられなかったため、この場合のSEOライティングは低レベルだと判断できます。
欲しい情報が盛り込まれている
たとえば「出勤前の肌ケアを習慣化させたい」と考えている乾燥肌の男性を想定読者とするなら、記事内容は短時間で取り組める肌ケアの解説でなければなりません。
「ミスト+マッサージ+パック」みたいな1時間かかる肌ケアの方法を紹介しても、この男性の心には全く響かないでしょう。むしろ邪魔な情報に思えるはずです。
想定読者が欲している情報を盛り込み、想定読者が欲していない情報を省いていくことがSEOライティングの基本です。
話の展開が理解しやすい
以下記事で解説している「全体から個別、抽象から具体」と「PREP法」を使い、想定読者が欲している情報をまとめることで話の展開が理解しやすくなります。
また、先ほど例に挙げたような「これから肌ケアを始めたい」と考える男性を想定読者とするなら、女性にとっては肌ケアの常識と思われる内容であっても、一から丁寧に解説したほうが良いでしょう。
難しい用語はできる限り使わず、肌ケアについての前提知識を持たない人に理解してもらえるレベル感を意識すべきです。
情報が最新である
インターネットに公開されている情報や書籍をもとに記事を書くとき、参考にした情報が最新のものであるか注意深く見ておきましょう。
肌ケア製品は毎年新しいものが登場しますし、肌ケアの知識も5年前と現在とでは違っているかもしれません。
「読者に鮮度の高い情報を伝えよう」と意識して情報を収集し、記事に盛り込むこともSEOライティングにおいて重要です。
良い「記事構成」を作成する方法
SEO記事のクオリティは、記事構成の作成に左右されます。
経験上、想像や勘に頼って構成案を作るより、このような流れで構成案を作成すると上位表示しやすいと感じています。
- 上位記事を上から5〜15記事参照
- 読者は何を求めているのか仮説を立てる
- 上位記事を参考に盛り込むトピックを決定
それぞれ解説していきます。
上位記事を上から5〜15記事参照
記事構成を進める際に「読者はこういう情報を求めているだろう」と空想するだけではいけません。
頭のなかで仮説を組み立てることは大事ですが、競合相手となる上位記事の内容を知らないままコンテンツを作成しても、競合を上回る品質の記事を安定して生み出せないからです。
目安として、これから記事を書く検索キーワードで実際に検索をかけて、どのような内容の記事が表示されるのか5〜15記事ほどチェックしてください。
上位表示している記事は、その時点における「Googleが読者にとって有益だと判断している記事」であり、原則として上位記事に含まれる情報は「読者が求めている情報」だと思って良いでしょう。
なお、上位表示している記事の傾向はブラウザのユーザー情報(あなたの属性・過去の行動)によって変動するため、この影響を回避するためブラウザはシークレットモードに設定してください。
シークレットモードの使い方はGoogleで「〇〇(あなたが使っているブラウザ名)シークレットモード 方法」といったキーワードで検索すると表示されます。
読者は何を求めているのか仮説を立てる
上位記事の傾向を見たうえで、その検索キーワードで調べごとをする読者はどんな人物なのか、何を求めているのかの仮説を立てます。
- その分野の初心者なのか、一定以上の知識を持っているか
- 「知りたい・やりたい・買いたい・行きたい」どの状態か
- 手早く答えを知りたいのか、詳しい解説を望んでいるのか
- どのような属性(性別・年齢・職業・家族構成等)なのか
上記のような視点から検索意図(何を求めて検索したのか)を想像するのです。

たとえば、検索キーワードを「株式投資 とは」と設定するなら、読者は株式投資の基礎知識を知りたい初心者なのだと予想できます。
専門用語をかみ砕き、株式投資の仕組みやメリット・デメリットなどを丁寧に解説するのが良いでしょう。本記事の執筆時点では、実際に上位記事もそのような構成となっています。
一方、同じ株式投資の分野でも「デイトレード 書籍 おすすめ」が検索キーワードであれば、読者は全くの初心者ではないことが予想されます。
デイトレードという用語を理解しているため基礎知識はある程度あり、検索意図としては買いたいという意思が強いものと考えられます。デイトレードに関する定番書籍を紹介し、各書籍の要点をまとめて購入ページに誘導するのが良いでしょう。
こちらも同様に、本記事の執筆時点では説明した通りの構成になっている上位記事が多い印象でした。
上位記事を参考に盛り込むトピックを決定
上位記事を参照しつつ、検索キーワードから「読者の人物像」や「求められる内容の方向性」を予想したあと、実際に上位記事の見出しを参考に「どのようなトピックを盛り込むのか」を考えていきます。
上位記事を順番にチェックし、Aの記事には含まれていてBの記事やCの記事には含まれていない情報、A・B・C・D…すべての記事に含まれている情報など、上位記事で扱われている情報を見出し単位で精査しましょう。
上位記事に含まれる情報のうち、想定読者が知りたいであろう情報はすべて自身が書く記事にも取り入れます。
具体的にどのような作業を行うのか、上位記事Aと上位記事Bを参考にして新規記事の構成案作成例をご用意しました(作成例の上位記事は架空のものです)。
1. 株式投資とは?
1-1. 株売買により利益を得る仕組み
1-2. 株式投資の3つの魅力
1-3. 株式投資の運用スタイル
2. 株式投資を始めるまえに
2-1. 株式投資のリスク
2-2. 株式投資の税金について
3. 株式投資とほかの投資との違い
4. おすすめのネット証券会社
5. まとめ
つぎに、上位記事Aとやや内容が異なる上位記事Bを紹介します。
1. 株式投資の仕組み
2. 株式投資により得られる利益は3種類
2-1. 売却益
2-2. 配当収入
2-3. 株主優待
3. 初めは何円から運用するのが良いの?
4. 「2020年」おすすめのネット証券会社
5. まとめ
上位記事Aと上位記事Bは、内容が被っている部分とそうでない部分があります。
たとえば、株式投資の仕組みを解説する見出しや、おすすめのネット証券会社を紹介する見出しはどちらの記事にも含まれています。
一方、リスクや税金の説明は上位記事Aにしかなく、利益の獲得方法が3種類あることの説明は上位記事Bにしかありません。
「株式投資 とは」というキーワードで情報収集をしている読者にとって、どちらの情報も有用であるにもかかわらず…です。
このような上位記事の情報の抜け漏れを見つけたとき、その漏れを補うように意識して構成案を作成してみてください。
1. 株式投資とは?
1-1. 株式投資の仕組み
1-2. 株式投資の3つの魅力
2. 株式投資により得られる利益は3種類
2-1. 売却益
2-2. 配当収入
2-3. 株主優待
3. 株式投資の運用スタイル
3-1. デイトレード
3-2. スイングトレード
3-3. ポジショントレード
3-4. 長期投資
4. 株式投資とほかの投資との違い
5. 事前に把握しておくべきリスク・税金について
5-1. 株式投資にともなう4つのリスク
5-2. 株式投資の税金・確定申告について
6. 初心者はいくら投資額を用意すべき?
7. 2020年最新!おすすめのネット証券会社
8. まとめ
「株式投資 とは」と検索した読者が求めている情報を、上位記事を参考にして不足のないよう盛り込んでみました。
上位表示するか否かは構成案だけで決まるわけではないものの、読者に「この記事は充実度が高かった。
ほかの記事を見る必要はないな」と思わせる構成案にすることで、上位表示の可能性はぐっと高まります。
良い「タイトル」を考える方法
タイトルの付け方については諸説あり、発信者によって最適解の定義にはバラつきがあります。
僕も試行錯誤し、どのようなタイトルを付けると良いのか悩んできました。
結論からいえば「一回目に理想的なタイトルを付けるのは難しい」と感じています。
記事を納品した当初、ベストだと思っていたタイトルが全然クリックされず、別の文言に変えたとたんクリック率が改善されるケースが多々あるからです。
そういう意味では、クリック率を見つつタイトルを何度も変更することが最適解への近道ではあります。
ただし、Webライターの仕事は記事単位であるため「記事を書いたら終わり」といった流れになることが多く、二度目、三度目のタイトル変更には関われないケースのほうが多いように思います。
そのため、僕は一般的にクリックされやすいと考えられているタイトル付けのポイント3つを意識し、二度目以降のタイトル変更はメディア運営者に任せてしまっています。
・タイトルを32文字程度に収める
・検索キーワードをタイトルに含める
・読者の興味+提供する価値を伝える(できれば最新情報であることも伝える)
タイトルの文字数を制限する理由は、Googleの検索結果に表示されるタイトルが32文字前後だからです。
個人的には「読者のクリックを誘う文言」が32文字以内に入っていれば、後に続くタイトルが長くなっても問題ないと考えています。
しかし「タイトルを32文字に収める」という基準を絶対のルールと捉える方もいるため、基本的には32文字程度に収めておくことをおすすめします。
「検索キーワードをタイトルに含める」は、検索キーワードが「株式投資 とは」であるとき、タイトルに「株式投資とは?仕組みやメリット・デメリットを解説」といったふうに検索キーワードを含めるという意味合いです。
最後に挙げた「読者の興味+提供する価値を伝える」が、タイトル付けにおいて最も頭を使うところです。
「読者の興味」は想定読者の興味を引く言葉を入れること、「提供する価値を伝える」は当該記事がどのような情報を提供するのか伝えることを指します。
それぞれ具体的にどのような文言を使えば良いのか、Webライターに向けて情報発信をしている僕のブログ『藤原将軍』を参考に例を挙げます。
太字部分が読者の興味を引くための文章、あとに続く文言が提供する価値を伝える文章です。検索結果を眺めるとき、視線はタイトルの左側に集まりやすいといわれています。
ですから、まずは感情に訴えかける文章を左側に寄せて「お? なんだなんだ?」と関心を誘い、続けて「こういう内容の記事か。読んでみよう」と思わせるよう記事内容の開示をしているのです。
なお、タイトルは記事の内容と一致するように意識し、記事内容とは関係のないタイトルを付けることは避けましょう。

タイトルに惹かれてページを読み始めた読者は、タイトルと記事内容の乖離(かいり)を察知したとたんにページを離脱してしまいます。
これではGoogleに有益ではないコンテンツと判断されてしまい、検索結果の上位に表示されなくなってしまうのです。
- タイトルと記事内容を一致させる
- 不安を強く煽るタイトルは避ける
タイトルを考える際には、これらのポイントを意識するよう努めてください。
構成案・タイトル作成はライター以外が担当することも多い
SEO記事を制作するにあたり、必ずしもWebライターが構成案やタイトルを考案する場合ばかりではありません。
すでに記事の見出しやタイトルが用意されており、Webライターはリード文・本文・まとめ文を書くだけの場合も多いのです。
しかし、記事制作のプロとしてWebライターを名乗る以上、あらゆる「書く業務」について把握している状態が理想的です。
何より、経験と実績を積んで高難度の仕事を受けるフェーズに入ると「タイトルごと原稿を作ってください」と頼まれるケースが増えてきますから、構成案やタイトル作りを求められたときに困らないよう準備しておくことをおすすめします。
もっと学術的なSEOライティングを学べる本
今回は、できる限り分かりやすくSEOとSEOライティングの基礎をお伝えしたかったため、専門性の高い知識はほどほどに抑えて解説しました。
よりアカデミック(学術的)な切り口からSEOについて学びたい場合には、以下記事「”SEOライティング” を学べる本」で紹介している書籍をおすすめします。
まとめ:SEOを学べば成果を出せるWebライターになれる
ここまで読んでいただいたあなたは「SEOライティングって簡単そうで難しい」と感じているかと思います。まさに、SEOライティングは定義こそシンプルであるものの、追求を始めると奥底の見えない深い技術なのです。
これだけ長い記事を書きましたが、僕もまだまだ修行中の身。実際に試行錯誤し、どうやれば “Webライターに必要なSEO知識” を極められるか研究して、その結果を『藤原将軍のライティングメルマガ』で共有しています。