貧乏フリーランスに取材をした記事を読みました。

取材を受けていたフリーランスの男性は、過去に僕が見たことのあるフリーランスの生き写しみたいです。

すでに夢に破れていることも気付かないまま、永遠に着かない夢の島へ船を進める彼の言葉が、とても虚しく感じられました。

今回は、夢を見て脱サラしたフリーランスが、どうして貧乏になるのかご説明します。

1.フリーランスは「価値の売り方」であり生き方ではない

フリーランスに自由な生き方を見出して、本当に豊かな毎日を送っているフリーランスはどれほどいるのでしょう。

思うに、フリーランスは「自分の人生を自由にする道」ではなく、「価値提供のあり方を自由にする道」です。

もっと分かりやすく説明するため、僕自身の労働者~個人事業主の経緯で例えます。

(1)僕は「会社員」という枠組みでは価値提供できなかった

僕は、もともと月収10万円の貧乏な美容師です。吃音症という言語疾患により、みんなのように上手く電話対応や接客ができませんでした。

人並みに価値提供ができず、労働者として失格の烙印を押されて過ごしてきたのです。それを救ってくれたのは、フリーランスという生き方でした。

僕は、吃音症が価値提供の邪魔をしない「フリーランスライター」として生まれ変わり、新しい価値提供のあり方を覚えたのです。

(2)価値提供の最適化を図るからこそ、人生の自由度は高まる

自由な人生とは、要するに「お金と時間に余裕のある生活」の連続です。

ただ、美容師だった僕のように、人並みに価値提供ができない枠組みのなかにいる限り、価値提供の対価である ”お金” は手に入りません。

そして、時間を買えるアイテムはお金のみ。

つまり、自由な人生とは「価値提供の最適化による収入増加」ののちに見えるものであり、価値提供を人並みにできないなら不自由(貧乏)な人生から脱することはできないのです。

2.貧乏になるフリーランスの共通点

貧乏になるフリーランスの共通点として挙げられるのは、一般的に以下のようなものです。

  • 高単価な案件を受けるスキルがない
  • 高単価な案件を勝ち取る営業力がない
  • 売上を浪費に充てて、税負担で苦しむ

言わずもがな、上記のポイントも貧乏になる要因ではあります。

しかし、ここでは一歩踏み込んで、より根本的な精神状態の問題についてご説明します。

(1)「価値提供」が商売の本質だと理解していない

貧乏になるフリーランスが、どうして貧乏になるのか。その理由は、2つ挙げられます。

  • 投じる時間・労働力に対して、1件あたりの報酬が少ない
  • 仕事の依頼数が少なく、継続発注にも繋がらない

前者は、発注者に「フリーランスとして働く、あなたの時間・労力は安い」と思われているため起こります。

後者は、フリーランス側の発注者に対するアプローチが少ない、あるいは「あなた程度のフリーランスには依頼したくない」と思われるために起こるものです。

これらの問題は、自分の持つ ”提供できる価値” を認識し、その価値を高める努力や工夫をしなければ解決しません。

しかし、貧乏になるフリーランスというのは、貧乏の理由を「僕らを買い叩く市場のせいだ」と言います。

……が、これは違うと思います。

市場が金を出し渋るのは、スキルを磨かないフリーランスが増えたからです。提供される価値水準の低下にともなって、市場が金を出し渋っているとも言い換えられます。

貧乏フリーランスを脱する考え方①

「どうやって、提供できる価値を増幅させられるのか」を最優先に考える。

(2)「受け売り」が行動の根拠になっている

「〇〇さんのようになりたい」と思い、勇気をもって行動することは良いと思います。しかし、人の言葉をアクションのきっかけにすることと、人の言葉を行動指針の中枢においてしまうのとでは訳が違います。

冒頭部分に挙げた取材記事は、以下のコンテンツです。

外部サイト:東洋経済オンライン「フリーランスを志す31歳男性の「夢と現実」

インタビュイーの不安定な労働スタイルを見て「ずばり、あなたは名ばかり事業者になっていませんか」と問いかける取材者。

その鋭い指摘に対して、彼は「マッカーサーの ”前へならえ” の価値観は古い」とか「アフィリエイトで稼げたら有給休暇のように過ごせる」とか、どうにも的を射ない言葉で反論します。

彼は起業サークルに加入し、20万円ほどの入会金、1回800円の参加料を支払いつつ、セミナーにて先ほどのマインドセットを学んでいるそう。

彼も、受け売りが行動の根拠になっている典型例だといえます。

貧乏フリーランスを脱する考え方②

人の言葉はきっかけ、その後の意思決定を人の判断に委ねてはならない。

「〇〇さんはこう言ってた」ではなく「僕はこう考え、こう思うから」と言えるまで自分と対話すること。

(3)「どうやって実現させるか」を考えていない

駆け出しフリーランスのあいだは、「自分が何をしたいのか」ばかり考えても良い結果がでないように思います。

むしろ「自分は何が提供できるのか」と「市場は何を求めているのか」をすり合わせて、その答えに対して「どうやって実現させるか」を練りまわす工程が大切です。

ここに、自分のやりたいことが優先して介入する余地はありません。

僕が、かつて「美容師になりたい」と言って業界に入ったものの、価値提供ができずに貧乏のままだった理屈と同じです。

貧乏フリーランスを脱する考え方③

理想的な価値提供のあり方を「どうやって実現させるか」にフォーカスし、自分の「何をしたいか」という自己実現欲求は一旦捨てる。

3.苦手な作業の外注化、事業拡大はそのあとの話

外注を駆使したり商流を上げる努力をしたり、フリーランスが収入を増やすための方法はたくさんあります。

しかし、これらは以下の問題をクリアし、そのうえで実践して初めて成果に繋がるノウハウです。

  • 「価値提供」が商売の本質だと理解していない
  • 「受け売り」が行動の根拠になっている
  • 「どうやって実現させるか」を考えていない

精神の土壌が整っていないにもかかわらず、表面的な形だけを取り入れても空振ります。

価値提供について思案したり、自己実現欲求の優先度を下げたりといった行為は、あるタイプの人にとっては苦行かもしれません。

ただ、貧乏なフリーランスになりたくないと願うなら、避けては通れない道なのです。

4.まとめ

フリーランスを語るとき、多くは「場所・時間にとらわれず働ける」という一面的な部分ばかりが強調されます。さも、自分の人生を自由にしてくれるツールのように思えるのです。

しかし、実際は違います。

  • 「誤」フリーランスは自分の人生を自由にする
  • 「正」フリーランスは価値提供のあり方を自由にする

自由度の高い人生とは、自分のお金と時間を最大化させるために「価値提供の最適化」を図った人間にのみ手に入るのだと……僕はそう思います。

メリットだけでなく、フリーランスの現実も知ってほしい▼