「成果物のクオリティを落とさず、記事制作の時間を短くしたい」と悩むWebライターは、非常に多いことでしょう。

僕も、かつて記事制作に時間がかかり、1日に3,000文字を書ければ上出来という時期がありました。

今回、ブログ問い合わせから相談いただいた専業WebライターのKさんは、1日に2,500字ほどしか書けず困っているとのこと。

このページでは、Kさんにいただいた「執筆スピードが遅くて、専業Webライターを続けられそうにありません」という悩みに対して回答していきます。

追記(2020年7月)

質問者さんから、本記事を投稿した翌々月に「1日6,500文字書けました」とご報告いただきました。とても嬉しく思います。

この記事の執筆者

藤原 将

2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。

ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『文章起業』など文章を題材にした著書複数。2022年からYouTube運営に注力。

Q1.記事制作前のリサーチに時間がかかります

質問メールにある2つの悩みに対し、順番に回答していきます。まずは、ライティング前に行う〝上位記事の確認〟が遅いというお悩み。以下、質問メールを抜粋したものです。

Kさんにいただいた質問1
藤原様のブログに、 「(2)記事制作前にリサーチを行う。記事構成は上位ページを確認」

1.指定されたキーワードで上位表示をしている記事に目を通す(5~15記事)
2.上位表示の傾向から、どういった情報が求められているのか仮説を立てる

との記載がありますが、5~15記事に目を通す際には、すべて頭から終わりまでじっくりと読まれますか?

私の場合、そのようにしていると、それだけで2時間ほどかかってしまいます。

そのため最近は上位3記事をじっくり読みこみ、以下7サイトはとりあえず見出しをチェックして、どんな内容が書かれているかを確認して構成を考えるようになりました。それでも1時間ほどかかってしまいます。

改善できる点がありましたら、ご意見を頂戴したく存じます。
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Kさん専業Webライター
Q
ご質問メールの全文 クリックで展開

A1.知識があるなら、上位記事から傾向を読み取るのみ

僕の場合、上位記事はいずれも〝斜め読み〟です。遅くとも、できる限り速い黙読のイメージです。

Q
斜め読みとは?
A

文章の要点をかいつまんで読み進めること。

もちろん、当該分野における知識がゼロであれば、勉強も兼ねてじっくり読むことでしょう。

たとえば、未経験分野の記事を書くとき、僕は執筆分野の書籍1, 2冊と、いまから書く検索キーワードの上位記事を5~15本ほど読み込みます。

しかし、自身にとって既知の情報ばかり書いている記事を、上から下まで全て読んでも「これは新しい知識だ」と思えるものはありませんよね?

つまり、すでに基盤となる知識があるなら、じっくり読むことに対するリターンはそれほどないのです。

ですから、Kさんが上位記事を読み進めるなかで「この記事に書いている内容なら分かる」と感じたなら、その段階から斜め読みに切り替えても問題ないように思います。

この場合、上位記事のチェックは、リサーチと言うより答え合わせです。「ああ、やはりこういった内容で記事を書けば良いんだね」と。

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今後のKさん
1位の記事にはAとBの情報があるけど、2位の記事にはBの情報しかない。その代わりに、2位の記事にはCの情報がある。

つまり、私はA+B+C…(その他もあれば)の記事を書けば良いのだろう。

執筆分野にある程度の理解度があるなら、一度リサーチのフローを上記のような流れにしてみてはいかがでしょうか。

心理的に抵抗があるやも知れませんが、廃業すればKさんの不在により不利益を被る事業者さまは増えます。勇気を出して、自身のルールを変えていきましょう。

ちなみに、かなり知識レベルが高い分野のライティングなら、見出しを見るだけで事足りる可能性もあります。

上位記事の見出しだけ抽出する手法

ラッコツール(見出し(hタグ)抽出)」はご存知でしょうか? こちらの無料ツールに【検索キーワード】を入れると、順位別に上位記事の見出しが抽出されます。

もともとリサーチが適当なライターさんには推奨しない方法であるものの、おそらくKさんは慎重な性格をお持ちでしょうから、リサーチの質を下げずに時間短縮が図れるかも…と想像しております。

ちなみに、僕は当ブログを書くとき、このツールで抜き出した競合サイトの見出し情報を見て「この見出しで扱っている内容は知らないかも」と未知の情報を探る作業を短縮してきました。

そうやって作った構成・記事でも上位順位を取れていますから、執筆分野に対しての知識があるなら上位記事を一言一句チェックする必要はないように思います。

上位記事を俯瞰して見るよう心がければ、コンテンツの品質を維持したままリサーチ時間を短縮できるかと。

Q2.500〜700文字の執筆に半日かかります

つぎは「間違った情報を伝えることが怖く、記事に書くこと以外も調べてしまい執筆スピードが遅くなる」というお悩み。

「間違った情報を伝えることが怖い」と思うことは、良いWebライターになるための条件の1つだと考えています。

そして、記事に書かない関連要素まで調べることも、破綻のない文章を作っていくうえで大切です。

以下の質問メールを読みつつ、記事制作に対するスタンスをそのままに、二度目以降のリサーチの負担を減らす方向で考えてみましょう。

Kさんにいただいた質問2
芋づる式に、調べて理解をしなければならないことが出てきます。

これらを自分の中で納得ができるよう理解して、頭の中で構築し直して、誰にでもわかりやすいように言葉にする。 500~700文字の内容を書くのに、半日もかかってしまいました。

こういった場合、どのように考えたら良いでしょうか。「すべて理解しないで良い」、と考えるべきでしょうか。これですと他の記事のリライトになってしまう気がします。

「読者が必要とする情報を書く」という点ではすべてを書く必要はないのですが、「―――制度」の背景や他の制度との関連性を、きちんと理解しておかないと、間違った情報を伝えてしまう気がして怖いです。

藤原様でしたらどうなさいますか?

※質問者さまの希望により一部伏せています。
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Kさん専業Webライター
Q
ご質問メールの全文 クリックで展開

A2.二度目以降の効率化を意識してリサーチ結果をまとめる

Kさんが仰るような心がけは、より分かりやすい記事を生み出すために不可欠だと考えています。

しかし、時間がかかり、ときに「ここまで調べる必要は無いのでは」と苦しめられる部分でもありますよね。

そんな、慎重派であるKさんタイプのWebライターには「一度目は大量に時間を投じて調べる。けれども、調べたことは体系的にまとめ、二度目はすぐ引き出せるよう工夫する」という方法を提言いたします。

メール抜粋

つまり「―――制度」についての説明を書こうとすると、

・「―――制度」について知っておくことの重要性とは? どんな制度で、なぜ必要なのか、実施自治体はどれくらいか? 

・「―――計画」とは何か、この方針の背景には何があるのか。

・「―――」という政府の方針とは何が違うのか

・「―――法」とはどんな法律で、なぜ、どのように改正されたのか

・それぞれの関係性は?

など芋づる式に、調べて理解をしなければならないことが出てきます。

※質問者さまの希望により一部伏せています

これらの情報を調べ、頭のなかで最適化して記事に落とし込む。ここまでが、すでに実践されていることだと認識しています。

さて、1つ確認していただきたいことがあります。

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藤原 将
今日調べたことを、あとからすぐ引き出せるように整理なさってはいますか?

たとえば、僕は未知の情報を調べたあと、それらの情報を仕事終わりにGoogleドキュメントへまとめます。

「知識リスト 不動産 ―――制度」と名前をつけたドキュメントに、「―――計画」に関して調べたこと全てをまとめるのです。

できる限り端的に、バイアスのかかった意見・余計な情報を除外してメモし情報ソースのリンクも記録しておくと次回以降のリサーチを効率化できます。

Q
バイアス(偏り)の強い情報の一例
A

1. バイアスの強い情報
「太陽光発電は非常に高利回り。十分に儲けられる投資です」

2. 極力、バイアスを省いた情報
「〇〇年の調査によると、太陽光発電の平均利回りは〇〇%。投資額を〇年程度で回収できる程度の利益率です」

得た知見を〝不純物を除いた情報群〟としてまとめておくと、あとから「―――制度って、どんなものだっただろう」と気になるときに答えをすぐに読み返せるのです。

再度、Googleで【―――制度 とは】と検索する行為と比べ、意味合いが大きく異なることにお気づきでしょうか?

  • 検索時間の短縮
  • 自身が書いたため、自ら理解しやすい
  • 無意識に他サイトをコピペする可能性がない
  • 「この筆者の情報は間違ってるかも」と不安になり、複数のサイトを確認する手間が省ける

公的機関の資料がない場合に「この筆者の情報は間違ってるかも」と不安になって複数のサイトを回ってしまう現象、とくにKさんタイプの方には分かっていただけるかと思います。

その点、Googleドキュメントに整理したものは、自分が一度妥協なく調べたものですから、いくらか安心できるよう思いますがいかがでしょう?

この方法で、Kさんがメールで仰っていた「『すべて理解しないで良い』、と考えるべきでしょうか。これですと他の記事のリライトになってしまう気がします」という悩みをいくらか解消できるように思います。

繰り返しになりますが、これは他者の記事のリライトではなく、自身の記憶を辿る行為の最適化だからです。

Kさんにとっての〝仕事の基準〟を把握することも時間短縮のカギ

Kさんを悩ませる要素の1つに「長時間のお仕事が難しい」とありました。

ここまでにご紹介した「記事制作後に情報をGoogleドキュメントにまとめる」という行為は、Kさんにとっての〝仕事〟に含まれそうでしょうか?

僕の場合、記事を書くためのリサーチには仕事意識を強く持つものの、今日調べたことのまとめは日記を書くことにも似た行為に思えるのです。

後者のほうが精神的負担は少なく「長時間の仕事が難しい」という場合にも、プライベートの延長として実践できるように思うのですが、実情は異なるようでしたら申し訳ございません。

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藤原 将
以上、簡単ですが回答となります。

ライティングメルマガでは今回のような悩みにも回答しています

ブログを書き始めてから「藤原さん、こんな悩みがあるんですけど」とたくさん質問をいただくようになりました。

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読者さん
有料サロンって入るべきですか?
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読者さん
提示金額の安い依頼相談ってどうすれば……

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過去に回答した質問の一例


・予算の主導権をライターが握る方法はありますか?

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