私はWebライターのかたわら、Kindle著者として電子書籍を出版しています。

2020年10月に初著作を出版し、その作品の商業出版が叶って1冊目の紙書籍を2021年の3月に出版。

同年5月には、2冊目のKindleを出版しました。

Kindle出版を検討している方にとって、やはり印税収入は気になる事柄だと思いますから、本記事では主に電子書籍の印税についてお話しします。

この記事の執筆者

藤原 将

合同会社ユートミー代表。2018年からフリーランスライターとして主に法人メディアの記事制作に従事。

ランサーズ株式会社より「ランサーオブザイヤー2021」を受賞。大和出版『副業・在宅OK、未経験からはじめられる 「文章起業」で月100万円稼ぐ!』など文章を題材にした著書複数。

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Kindle出版による印税収入は「勤め時代の年収」くらい

この記事の執筆前、KDP(AmazonのKindle出版サービス)の担当者に「印税収入を公開していいか」と尋ねたところ、守秘義務の対象にあたるため公開は差し控えるようにと指示されました。

ですから、生データを載せることはできないのですが、ざっくりとイメージをお伝えします。

私の場合、初著作の出版から半年ほど経過した段階で、勤め時代の年収ほどの印税収入を得られました。とはいえ、私は月給が10万円を下ることも珍しくない美容師業界の出身ですから、年収相当といっても大したことはありません。

購買部数は出版直後から1~2か月ほどがピークであったため、データを振り返ると印税収入には大きな波が見られますが、一日の購読数が落ち着いてきた今も「大人一人なら何とか生活できる」くらいの印税を得られています。

当然、実際の数字を出すことはできないのですが、ざっくり「こういった推移を辿っている」というチャートを作成しました。

印税推移のイメージ

2か月目の印税収入が、出版初月を上回っている理由は「出版日が月の四週目だった」からです。

おそらく月初めに出版していれば、印税収入のピークは左端となり、緩やかな右肩下がりのチャートになっていたものと推測しています。

ネット上には「今月の印税収入は●千円でした」と書かれているものもあり、あまり印税収入に期待はしていませんでしたが、予想に反して個人的には満足すぎる数字を達成できました。

著者によって「思ったほど儲からなかった/儲かった」の感想は異なるようですが、私は率直に「Kindle出版のパワーはすさまじい」と驚きました。

Kindleの作り方については、以下記事で解説しています。実際に電子出版へ挑戦する際は、こちらをご参照ください。

紙書籍(印税率10%未満)とKindle(印税率35~70%)を比較

私は紙書籍も出版した経験がありますから、せっかくなので紙書籍と電子書籍の印税率を比較して、両者にどの程度の乖離があるのかイメージを書き起こしてみましょう。

とびきりの有名人でなければ、紙書籍の印税率は10%未満です。紙書籍に関しては「印税率○%でした」と公開できませんが、ビジネス書の場合は印税率5~8%の範囲に収まると聞きました。

著者が有名である場合は10%程度になるそうです。

一方、Amazonに出版した電子書籍(Kindle)は、以下条件を満たすと印税率が70%となります。

印税率70%の条件
  • Kindleストアに独占販売
  • 商品価格は250~1,250円(税込)に収める

現状、Amazonが電子書籍の市場を牛耳っていますから、Kindleストアに独占販売する設定にしました。商品価格は何度か変更しましたが、いずれも250~1,250円に収まる範囲としています。

本記事の執筆時点では商品価格を1,200円に設定しており、販売数1冊あたりの印税収入は763円(税抜価格に対する70%であるため)です。参考までに、以下に自著のリンクを掲載します。

紙書籍の印税率を8%とした場合、1,200円の税抜価格に対する印税額は87.28円となります。

項目紙書籍電子書籍
税抜価格1,091円1,091円
印税率8%70%
印税額 / 冊87.28円763円

1冊あたりの印税額には、675円程度の差があります。

仮に電子書籍の印税率を35%としても、1冊あたりの印税額は381円になりますから、利益率の面では電子書籍に軍配が挙がるでしょう。

ただし、商業出版の際に「出版社から紙書籍と電子書籍を出版する」という形の場合、著者の印税率は紙書籍と同等、あるいは紙書籍より少々高めの数字が適用されるそう。

「電子出版は収益性が高い」というより、電子書籍のセルフ出版なら収益性が高いと言えます。

Amazonのシステムを利用したセルフ出版の手順に関しては、以下の記事で解説しています。

電子書籍の出版に関心のある方は、ご一読ください。

電子書籍の印税はどのような仕組みになっているのか

冒頭にて述べたように、機密保持義務の関係から印税収入の内訳は公開できませんが、どのようなイメージで印税収入が発生するのか説明してみます。

Twitterのフォロワー増加数とブログ新規ユーザー数は、実際のデータを使ってみました。

※ あくまで印税収入が発生するイメージをお伝えするものですから、計算に使用する係数は架空のものです。

1冊買われた場合の印税
※買い切りによる購読
763円
1冊読まれた場合の印税
※Kindle Unlimitedによる購読
約125円
※KENP単価 0.5円、1冊250ページと想定
Twitterフォロー増加数100人 / 月
ブログ新規ユーザー数4,000人 / 月

毎月4,100人、新しく自著を読んでくれる可能性のある方と繋がることができています。

Twitter、ブログともに「Webライターの活動を軌道に乗せる方法」をメインに発信していますから、自著との相性は非常に高いはずです。新しく繋がった方の5%が自著に関心を抱き、電子書籍を手にしてくださると仮定してみましょう。

20人に1人。つまり、4,100人のうち205人が購入、あるいはKindle Unlimitedによる無料購読を通じて電子書籍を手に取ってくださる計算です。

購入と無料購読の割合も機密保持対象かと思いますから、ここはざっくり50:50と仮定します。

  • 電子書籍の購入者:102人 / 月
  • 電子書籍の購読者:102人 / 月
    ※整数以下は切り捨て

売上換算するなら前者は「102人×763円=約7.8万円」、後者は「102人×125円=約1.2万円」となり、月間の印税収入は約9万円です。

Amazonのプラットフォーム内から発見・購入してくださる方もいらっしゃるでしょう。正直、Amazonから自著を買ってくださる方と、ブログやSNSから自著を買ってくださる方の比率はまったく分かりませんから、ざっくりと50%ほど上乗せしてみます。

ブログやSNSから自著を購入してくださる方は、私の発信を見て共感してくださっている方ですから、Amazon内の購買よりも数字が優れている……という何とも感覚的な仮定を持ち出しました。

すると、印税収入は約13万円になる計算です。

ブログやSNSを見てくださる方の趣味嗜好は、数値化できるほど簡単ではありませんから、計算式に入れた係数はあまりにもお粗末だと言えますが、印税収入のイメージが伝わっていれば幸いです。

「Kindle Unlimitedは儲からない」への疑問

Kindle Unlimitedは、月額課金制のKindle読み放題サービスです。

ユーザーは月額980円のサービス利用料を払うと、Kindle Unlimitedの対象となる電子書籍を何冊でも読めます。

ただ、Kindle著者からすると、サービスの捉え方はやや異なるはずです。

Kindle Unlimited=読者に購入以外の購読方法を与えるシステム

このように捉えてしまうかもしれません。

実際、私が出版した電子書籍の場合、購入されると1冊あたり763円の報酬を得られますが、Kindle Unlimitedを使って読まれた場合には1ページあたり0.5円(KENP単価と言います)となります。

だからこそ、一部では「Kindle Unlimitedは儲からないだろう。無料購読の対象にならないよう設定しよう」といった声もあるようです。

しかし、個人的にはKindle Unlimitedの対象書籍に設定するほうが良いという意見を持っています。

  • 読者は個人出版された電子書籍に不信感を持っている
  • 正規価格とのギャップが「とりあえず読んでみよう」の導線になる
  • Kindle Unlimitedだから期待できる販売促進効果もある

上記のような理由があるからです。

読者は個人出版された電子書籍に不信感を持っている

まず(読者側は嬉しくないニュースですが)個人出版された電子書籍は、商業出版された紙書籍に比べて低品質なものがあります。

編集者が介在しないため文章は分かりづらく、正しい情報と誤った情報が混在する出版物もあるのです。

そのため、質の低いKindleを手に取った経験のある読者は「個人出版のKindleは高価格なら手を出さないでおこう」という心理が働くと思われます。

Kindle Unlimitedによる書籍の無料化は、その抵抗感を払拭して「無料だし読んでみるか」と思わせる要素です。

正規価格とのギャップが「とりあえず読んでみよう」の導線になる

自著の場合、正規価格は1冊あたり税込1,200円です。個人出版の電子書籍には99〜500円程度の作品が多いなか、通常の書籍に近い価格帯となっています。

当然、正規価格が高くなるほど検討中の見込み読者は購入しづらくなるのですが、同時にKindle Unlimitedの登録者にとっては「正規価格がこれだけ高いなら内容に期待ができそうだ」と思わせる要素になるのです。

これまで、自著は段階的に正規価格を変えてきました。

  1. 250円(出版記念セール)
  2. 500円
  3. 980円
  4. 1,200円(紙書籍化にともない契約による値上げ)

すると、正規価格の上昇に比例して購入数 / 月は減り、Kindle Unlimitedによる購読ページ数が増えました。

段階的にKindle Unlimitedの購読ページ数が増加する様子を見るに、やはり「正規価格が高いほど無料購読の対象として期待値が上がる」という相関性があるのではないかと思います。

Kindle Unlimitedだから期待できる販売促進効果もある

Kindle Unlimitedの対象にすると、いくらか販促効果を期待できます。

  • Kindle Unlimitedの対象になると表紙画像が変わる
  • 読者が「こんな本を無料で読めます」と宣伝してくれる
表紙画像の上部に「kindleunlimited」の表記あり

これにより、Kindle Unlimitedのユーザーは一目で「この本は無料で読めるぞ」と気付きます。

Kindleの出版方法を説明した記事でも触れていますが、本の詳細ページへ引き入れるためには〝表紙・タイトル・レビュー(評価)〟といった要素が重要になりますから、表紙画像の上部に追加されるロゴは詳細ページに飛んでもらうための動機になり得るのです。

また、Kindle Unlimitedの対象書籍に設定しておくと、SNSやブログで「無料なのに素晴らしい本がありました」と宣伝してもらえます。

安いのに高品質だと思ってもらえれば、安かろう悪かろうの認識が覆されて感動を与えられるからです。口コミのパワーは侮れませんから、感動した旨の発信が増えることに期待してKindle Unlimitedを使う、という判断も良いように思います。

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